ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
ドイツ語は言語学的にはインド・ヨーロッパ語族、ゲルマン語派、西ゲルマン語群に分類されます。
インド・ヨーロッパ語族は名前の通り、インドからヨーロッパに掛けての広範な地域で話される言語が含まれるグループです。それら言語は共通の先祖(祖語)から派生したのだろうと推測されています。
インド・ヨーロッパ語族を地域毎に細分したのがゲルマン語派です。そしてゲルマン語派の中でも更に地域によって細分したのが西ゲルマン語群です。
西ゲルマン語群には、ドイツ語のほか英語やオランダ語も含まれます。
ドイツ語・英語・オランダ語は、語彙や文法の面で類似性が多くあります。
ドイツ語singenと英語sing
ドイツ語で「歌う」ことは、singen [ズィンゲン]と表現します。
英語のsingとよく似ていますね。これは、ドイツ語と英語で同じルーツに由来する単語だからです。
遡ればインド・ヨーロッパ祖語の*sengʷʰ-という再建形が究極的なルーツであり、西ゲルマン祖語の*singwanからドイツ語のsingenと、英語のsingがそれぞれ派生していったというわけです。
なお、singenは不定詞(動詞の原形)です。過去形はsang、過去分詞形はgesungenとなります。これは動詞の三基本形と呼ばれます。
英語では不定詞sing、過去形sang、過去分詞形sungですから、三基本形もドイツ語と英語で非常に似ていますね。
動詞singenから派生した名詞
さて、ドイツ語の動詞singenからは「歌うこと、歌」を意味する名詞形がいくつか派生しています。
では、ここで問題です。次にあげる4つのうちドイツ語固有の単語では無い名詞はどれでしょうか。
1.Sang [ザング]
2.Gesang [ゲザング]
3.Gesinge [ゲジンゲ]
4.Song [ゾング]
なお、この4つはニュアンスの違いこそあれ意味はどれも「歌うこと、歌」であり、動詞singenとの関係性は似た語形からも間違いなくあるように思えます。
ところが1つだけドイツ語固有(動詞からの派生)では無いのです。どれでしょうか。1つずつ見てみましょう。
1.Sang
男性名詞のSangは、動詞singenの語根(すなわちsing-の部分)から派生した単語です。よってドイツ語固有の単語です。古高ドイツ語のsang、中高ドイツ語のsancを経て、現代の語形Sangとなりました。
2.Gesang
男性名詞のGesangもまた動詞singenから派生した単語です。古高ドイツ語gisang、中高ドイツ語gesancを経て、現代の語形Gesangとなりました。
語頭のGe-はドイツ語においていくつかの機能を持つ接頭辞ですが、この単語の場合は「動作の結果」を示すためと思われます。
3.Gesinge
上の2語と異なりGesingeは中性名詞ですが、動詞singenから派生した単語です。この単語において、語頭のGe-は反復や継続のニュアンスを伴う動作名詞を成形するという機能があります。この機能のGe-を持つ名詞は、必ず中性名詞であり複数形が存在しないという特徴があります。
4.Song
さて、最後に残ったSongが実はドイツ語固有の単語ではありませんでした。実はSongは、英語songからの借用語だったのです。
4つの名詞の使い分けとは?
以上見てきた通り、「歌うこと、歌」を意味する名詞が固有語と借用語合わせてドイツ語には4つありました。
ではこれら、どのように使い分ければよいでしょうか。
ポイントは各単語のニュアンスの違いで、文脈や形式に沿って使い分けることになります。
まずSangは格式高い文章や詩的な表現においてのみ現れる古風な単語です。Gesangは中立的かつ一般的な表現で、声の響きやパフォーマンスを含めた芸術的な「歌」を意味します。Gesingeはネガティブな表現で、不快な騒音や長すぎる「歌」を意味します。そして、英語由来のSongは、歌謡曲とか流行歌のような今時の「歌」を意味します。
なおLied [リート]という単語もあり、やはり「歌」という意味の名詞です。Liedは詩に楽曲がついたもの、いわゆる「童謡」や「民謡」などが相当します。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、ドイツ語で「歌うこと、歌」を意味する単語について調べてみました。
複数の単語がありましたが、そのニュアンスの違いから使い分けには注意したいですね。
