ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
今回の記事では特に私が学習しているドイツ語のある単語について、何度覚えても忘れてしまうために備忘録としての機能も兼ねてまとめたいと思います。
外国語学習において慣れない文法事項は多くの方が苦戦するところと思いますが、同様に語彙についても気を付けないと足をすくわれてしまいます。
ドイツ語の「海」
まず、一般的な辞書で「海」という単語を引いてみますと、以下2つの単語が見つけられると思います。
①"Meer" [メーア]
②"See" [ゼー]
英語を長年学んできた感覚からすると、②"See"は英語の"Sea"に似ていることこら覚えやすと思います。
対して①"Meer"はあまり聞き慣れない単語かと思います。
ですが、この感覚の違いによる先入観は気を付けなくてはなりません。
ドイツ語では「海」という単語でより一般的に使われる表現は、①"Meer"になります。
②"See"は、無料の多機能辞典サイトWiktionary英語版にて、以下の注釈が付けられています。
This sense is normal in compounds and fixed expressions (as above). Otherwise, See is elevated and usually replaced by the synonym Meer.
つまり、"See"は「複合語や慣用表現」で一般的に使用されるものの、一般的な「海」という意味では"Meer"に置き換えられているというのです。
複合語の例としては"Seemann"「船乗り」があります。"See"「海」+"Mann"「男」という2単語から成る複合語です。
他にはドイツの北に位置する海、「北海」は"Nordsee"と表現されます。
これも、"Nord"「北」+"See"「海」から成る複合語です。
このように、複合語や地名としての「海」に"See"は見られますが、それ以外では"Meer"を用いるのが良さそうです。
"See"の用例は?
では、"See"は一般的には用いられないのか?というとそうではありません。
「海」としての意味は確かに"Meer"に譲りましたが、"See"は今では一般的に「湖」を表します。
英語"sea"と似ているからという感覚でいると、誤るもとになってしまうので注意が必要ですね。
更に厄介なのが文法面の話となりますが、この単語"See"は「湖」という意味で用いる場合と「海」という意味で用いる場合では、名詞の「性」が異なるという点で注意が必要です。
「湖」としての"See"は男性名詞であり、「海」としての"See"は女性名詞です。
名詞の「性」は、冠詞の形や修飾する形容詞の形に影響を及ぼすため、ドイツ語学習においては避けて通れないポイントです。
名詞に「性」があり、更に他の品詞の形に影響を与えるというのは日本語には無い文法規則にてイメージが湧きづらいですが、日本語でも「母なる海」や「母国語」という表現があるようにある名詞に女性的な印象を持つ場合があることを考えると、分かりやすいかもしれません。
そういう意味では、ドイツ語でもやはり「海」に女性の印象を抱いた、ということなのでしょうか。
ただし、前項で取り上げた"Meer"は中性名詞となります。
ドイツ語の名詞には男性名詞、女性名詞、中性名詞と、全部で3通りの「性」があるのですが、今回の2単語で3つの「性」が一気に登場する事になります。
"Meer"と"See"の使い分け!
話がややこしくなってきたので、これまでの内容を整理しておきます。
①"Meer" 中性名詞。一般的に「海」を指す名詞。
②"See" 男性名詞。「湖」を指す名詞。
③"See" 女性名詞。「海」を指すが、複合語や慣用表現での使用と限定的。
また、ドイツ語で"Meer"と"See"が使い分けられている実例も紹介します。
ドイツ語版wikipediaで"See"と検索してみて下さい。
男性名詞の"See"つまり、「湖」についての解説を見ることができます。
その記事の中段には、"Rekorde und Daten”「記録とデータ」がまとめられており、世界に存在する湖の広さや深さのランキングが示されています。
広さ世界一はロシアの「カスピ海」、深さ世界一はロシアの「バイカル湖」です。
ここで日本語の表記にも注目頂くと、カスピ海は「海」でバイカル湖は「湖」という表現されています。
対応するドイツ語も前者は"Kaspisches Meer"、後者は"Baikalsee"と、"Meer"と"See"が使い分けられています。
ところで、"See"「湖」についてまとめられた記事において、なぜカスピ「海」がランクインしているのでしょう?
実は、カスピ海は地形的には内陸にある湖です。ただ、ロシアやイランなど沿岸5カ国の論争を経て2018年に「海」であるとして国際的にも定義が決定したことから、日本語でもドイツ語でも「海」という名詞が採用されているという訳です。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、ドイツ語の単語"Meer"と"See"の使い分けについてまとめました。
ドイツ語は英語と同じゲルマン語派に属し、多くの基本単語が同じルーツを持っています。
とはいえ、似ている単語から意味も似ているだろうと類推すると落とし穴にはまってしまう危険もあり、やはり異なる言語として注意しておく必要があるということですね。