ラテン語"praegnans"から派生した単語の意外な意味とは?

2026/01/14

単語

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ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

古代ローマ時代に用いられたラテン語は、イタリア語やフランス語、スペイン語といったロマンス諸語のルーツとなったほか英語に豊富な語彙を供給しており、現代社会にも大きく影響を与えています。

今回は、そんなラテン語とその派生語について調べてみたいと思います。


ラテン語praegnansの意味とその派生語

今回調べるのはラテン語のpraegnansという語です。

この単語は接頭辞prae-gnansにより成り立っています。

接頭辞prae-は「前の」という意味があり、gnansは動詞gnascor「生まれる」の現在分詞形です。

つまり合わせて「生まれる前の」となり、praegnansで「妊娠している」という意味の形容詞となるのです。

語形を見れば明らかとは思いますが、これが英語に取り入れられてpregnant「妊娠している」となりました。

ちなみにラテン語のgnascorの過去分詞形はgnatusであり、これは英語nationnativeのルーツになっています。古くは語頭にg-があったのですね。

英語pregnantは、ラテン語からフランス語を経由して取り入れられた単語です。

フランス語にはprégnantという英語とよく似た単語があります。

ところが、現代フランス語での意味は「含蓄のある、意味深長な」でありラテン語や英語のように「妊娠している」という意味では用いられないのです。


フランス語prégnantが「含蓄のある」を意味するわけ

なぜフランス語では元のラテン語から意味が変わっているのでしょうか。

どうやら、別の単語からの影響があるようです。

Participe présent de l’ancien verbe priembre, preindre, « presser », lui-même issu du latin premere, « presser, serrer, enfoncer ».

対訳:古い動詞priembrepreindre「押す」の現在分詞形であり、ラテン語premere「押す、絞る、押し込む」に由来。

(参照:Dictionnaire de l'Académie française

かつて「押す」を意味した動詞の現在分詞形に由来しており、不定形は残らなかったものの現在分詞形のみが残ったというわけですね。

「押す、押し込む」というイメージから、意味に深みや含みがあるという意味に発展したと考えられるでしょう。


ドイツ語prägnantの意味とは?

ラテン語のpraegnansは、フランス語や英語だけでなくドイツ語にも影響を与えました。

ドイツ語にはprägnantという語があります。

ところがドイツ語では「簡潔な」という意味であり、ラテン語や英語のように「妊娠している」という意味ではありません。

どうやらドイツ語固有の単語による影響があるようです。

its particulars may have developed under influence of unrelated prägen (compare especially einprägsam).

対訳:恐らくは無関係なprägen「刻み込む、大きな影響を与える」の影響により発展した可能性がある(特にeinprägsamを比較せよ)。

(参照:en.wiktionary

引用中の最後に挙がっているeinprägsamは「覚えやすい」という意味の形容詞です。

「刻み込まれた」ものは記憶に残り「覚えやすい」というイメージの発展でしょうか。そして「覚えやすい」ためには「簡潔」であることが必要ですね。

フランス語やドイツ語も単語のみラテン語から受け入れて、他の単語の影響により意味が変わってしまったというのは面白いですね。


スペイン語preñadoの類義語とその意味とは?

ラテン語praegnansは、スペイン語においてpreñadoとなりました。意味は「妊娠している」であり、元の意味も受け継いでいますね。

ところでスペイン語には「妊娠している」という意味の類義語に、embarazadoという語があります。

embarazadoのルーツはラテン語em- + baraçoだとされています。em-は「中に」を示す接頭辞で、baraçoはアラビア語marasa「ロープ」に由来するのだそうです。

つまりembarazadoの原義は「ロープの中に」のようであったと考えられます。

原義からこの単語の本来の意味は「妨害された、占有された」という意味でした。ところがスペイン語では16世紀頃から、母親のお腹が赤ちゃんにより「占有された」という解釈になり現代のような「妊娠している」という意味が主になったのだそうです。

一方、この単語はフランス語embarrasséや英語embarrassedとしても取り入れられました。

しかしスペイン語のような意味の変化は受けず、「困らせる、恥ずかしい思いをさせる」であり本来の意味に近いと言えますね。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回はラテン語praegnansから派生した各言語の単語について調べてみました。

語形は受け入れながら、他の単語の影響により意味が変わってしまっているというのは面白いですね。

今後も興味深い発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。

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Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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