ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
英語において可能性(~だろう)や推量(~かもしれない)、許可(~してよい)、義務(~ねばならない)を表現するには、助動詞(英:auxiliary verb)が用いられます。
代表的なものはcan, may, will, mustですね。なお、これらは厳密には「法助動詞」と言います。
「法」とは、直接法や仮定法、命令法における「法(英:mood)」と同じで話者の心理的な態度を表すものです。
法助動詞の過去形とは?
上で挙げた法助動詞のうち、can, may, willにはそれぞれの過去形として、could, might, wouldという形が存在します。
これらは、もちろん過去における動作や状態を述べる際に用いることができます。
例)I could run fast when I was young. 「若い頃は早く走ることができた」
can「~できる」が、過去にずれてcould「~できた」となります。
ところが、mightやwouldはmayやwillの過去形として用いられることはありません。
例)You might want to take a train.「電車を利用した方がよいかもしれません」
例)I would like to have some tea.「お茶を頂きたいのですが」
2つの例文は、どちらも過去の話では無くて今(もしくはこれから)の話ですね。
これは、学生時代に習った仮定法過去の用法です。
仮定法「過去」という名称ですが、視点は現在にあります。仮定法は、直接法のように物事を主観的・事実ベースで伝えたくない時に用いられます。
1つ目の例で言えば、「電車を利用した方がいい」と話者は考えているものの直接的には言わず、あくまで一案として挙げて相手に判断を委ねているというわけです。
2つ目の例では「お茶が欲しい」という強い主張を控え目にして、丁寧にお願いしています。
仮定法では見た目の時制を過去にずらすことによって、現在の主張という強いメッセージを抑える効果が得られるのですね。
時制をずらすことで、非現実のことも扱えるようになります。
例)If I were rich, I would buy this car.「お金持ちだったら、この車を買うのに」
現実には、この車を買うだけのお金が無いということですね。
このように、法助動詞の過去形はもっぱら仮定法過去として使われることが多いと言えます。
mustの過去形とは?
上では法助動詞can, may, willと、その過去形could, might, wouldについて見ました。
ではmustはどうでしょうか。
義務(~ねばならない)や断定(~に違いない)を示すことができる法助動詞です。
例)I must work hard.「一生懸命に働かなくてはなりません」
例)He must be tired.「彼は疲れているに違いない」
では、これを過去に置き換えるとどうでしょうか。mustの過去形は?
改めて考えると思い浮かびませんね。それぞれ過去形は以下の表現となります。
例)I had to work hard.「一生懸命に働かなくてはならなかった」
例)He must have been tired.「彼は疲れていたに違いない」
義務に関し、mustとhave toは現在形において微妙にニュアンスを変えて使われます。
mustは主観的(自身が義務であると感じている)でありhave toの方が客観的(ルールや状況的に義務とされている)です。
しかし、なぜmustの過去形にはhad
toを用いねばならないのでしょうか。断定の用法も、過去形になっているのはbe tired ⇒ have been tiredの部分であり、話者の判断はあくまで現在に留まっています。
実は、mustには過去形はありません。だから考えても思い浮かばないのですね。
ではなぜmustには過去形が無いのでしょうか。
mustに過去形が無い理由とは?
mustには過去形が無い理由。それは語源を遡ることで見えてきます。
from Old English moste, past tense of motan "have to, be able to," from Proto-Germanic *motanan
対訳:ゲルマン祖語*motananに由来する古英語motan「ねばならない、可能である」の過去形mosteから。
(出展:Online etymology dictionary)
何と、mustはそもそも過去形だったのです。だから、mustの過去形というのは存在しないというわけですね。
更に紐解くと、かなり古くから過去形の意識は薄れているようです。
Used as present tense from c. 1300, eventually displacing motan, from the custom of using past subjunctive as a moderate or polite form of the present.
対訳:1300年頃から現在形として使用され、最終的にはmotanから置き換わりましたが、これは婉曲もしくは丁寧な表現として仮定法過去形を現在時制で用いるという習慣に由来します。
(出展:Online etymology dictionary)
今から700年前には既にmustが現在の視点で用いられるようになっていたというのです。
また、その背景はcan, may, willに対するcould, might, wouldのように仮定法過去によるものだったのですね。
義務(~ねばならない)も断定(~に違いない)も強い表現であることから、直接法の現在時制で使うのは憚られたのかもしれませんね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はmustについて調べてみました。
義務(~ねばならない)の表現に於いて現在形はmustを、過去形はhad toを用いると習いましたが、mustには過去形が無いことに由来する措置だったのですね。
今後も興味深い発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。



