ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
食パンの縁(焼きあがった部分)のことを、我々は「パンの耳」と呼びますね。
本来の耳とはもちろん聴覚器官のことですが、日本語では端っこや縁の部分も意味することから「パンの耳」と言えるわけです。
パンの耳を英語では何と言う?
端っこや縁を「耳」と表現するのは日本語に於ける話です。
英語でパンの耳を直訳してan ear of breadとしても通じません。
では、英語圏では何と表現するのでしょうか。
一般にはcrust「クラスト」と言います。
なおcrustはパンに限らず、パイやピザなどでも用いられます。ピザに関して言えば、クラスト部分は薄いものから厚いものもあり、トッピングの内容や人によって好みが分かれるところではないでしょうか。
ほかに、英語ではthe heel of bread / a loafで「パンの耳」と言うこともあるそうです。
heelとは「かかと」のことですね。足の堅い部分である「かかと」とパンの堅い部分を掛けた表現だと言えます。
the ears of a pitcherの意味とは?
さて、日本語で端っこや縁の意味でも用いられる「耳」ですが、英語のearもまた聴覚器官としての「耳」だけでは無く比ゆ的に用いられることがあります。
例えば、the ears of a pitcherという表現。
pitcherは「ピッチャー、水差し」のことですが、その耳とは何でしょうか。
正解は、ピッチャーの「取っ手」のことでした。
取っ手の形が耳のように見えることから使われている表現です。
なお「ピッチャーの取っ手」という意味でgoogle検索するときearは単数形よりも複数形の方が結果表示は多くなるようです。
一方でマグカップの取っ手という場合はan ear / the ears of a
mugのどちらでも結果表示は変わりませんでした。
比較的サイズの大きなピッチャーには取っ手が2つ(複数)ついているのに対し、マグカップは基本的に1つ(単数)であるというイメージが反映されているのかもしれません。
An ear of cornの意味とは?
では続いて、an ear of cornという表現について考えてみましょう。
cornは「トウモロコシ」のことです(ちなみに「トウモロコシ」という意味のcornは不可算名詞です。可算名詞のa cornは「魚(うお)の目」の意味となるのでご注意を)。
さて、「トウモロコシの耳」とは一体何のことでしょうか。
earを比ゆ的な意味と考えて「トウモロコシの取っ手」としても、よく分かりませんね。
実は、これ「一本のトウモロコシ」を指します。
cornは上でも述べた通り不可算名詞の用法において、集合的にトウモロコシを指します。たくさんのコーンが集まっているイメージですね。
もちろん不可算名詞を1本、2本と数えることはできませんので、earを単位として数えられるようにしてあげるというわけです。
要するに不可算名詞であるbeer「ビール」を、a glass of ~「一杯の~」で数えられるようにしているのと同じです。
なぜan ear ofで数えるのか?
しかしながら、なぜ「トウモロコシ」を数えるための単位がear「耳」なのでしょうか。
辞書を引くと、earには「耳」という意味のほかに「穂」という意味があることも見つかります。今回のan ear of ~という表現では「穂」という意味でearが使われています。
そして実は、「耳」という意味のearと「穂」という意味のearは語源的には全く無関係の別物なのです。
「耳」を意味するearは、インド・ヨーロッパ祖語*ous-が起源であると考えられています。この*ous-は、ギリシャ語ous、ラテン語auris、古いスラヴ語ucho、古いアイルランド語au、アヴェスタ語usiのルーツと考えられています(意味はいずれも「耳」、アヴェスタ語のみ「両耳」)。
一方、「穂」を意味するearは、インド・ヨーロッパ祖語*ak-「鋭い、とがって突き出る、突き刺す」に由来すると考えられています。よって、「鋭く、とがったもの」というようなイメージでしょうか。
ルーツが異なりながらも、英語においては最終的にどちらもearとなったのでした。
なお、英語と同じゲルマン系の言語であるドイツ語やオランダ語では以下のように語形が異なっています。
ドイツ語 Ohr / Ähre「耳 / 穂」
オランダ語 oor / aar 「耳 / 穂」
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はearという単語について調べてみました。
基礎的な「耳」という意味の他に比ゆ的な「取っ手」という表現があること、まったく異なる語源の「穂」という意味もあること等、興味深い発見がありました。
今後も興味深い発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。




