ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
「指」は英語で何というか、という質問は簡単に思えて実はそうではありません。
まず、英語においては足の「指」と手の「指」で単語を使い分ける必要があるからです。
足の「指」であればtoeですね。なおtoeには、つま先という意味もあります。
手の「指」の場合は、親指かそれ以外かで単語を使い分けなければなりません。
前者であればthumb、後者であればfingerですね。
なお、親指以外の表現は以下の通り。
人差し指 index finger
中指 middle finger
薬指 ring finger
小指 little finger
なお、足の指の場合は以下の通り。
親指 big toe / first toe
人差し指 index toe / second toe
中指 middle toe / third toe
薬指 ring toe / forth toe
小指 little toe / fifth toe
足の指に関しては、親指とそれ以外で分けることは無く、いずれにせよtoeが用いられます。
このように、英語においては「指」に相当する単語の使い分けが日本語よりも細かいことが分かりますね。
親指は「指」に入る? 英語以外の場合
英語において手の指は、親指かそれ以外かで単語が分けられるというのは上で見た通り。
では、ほかの言語ではどうでしょうか。
以下に挙げた言語においては、英語と同様に親指とそれ以外で単語が使い分けられています(順に左が「親指」/ 右がそれ以外の「指」)。
ドイツ語 Daumen / Finger
オランダ語 duim / vinger
これらは英語と同じゲルマン祖語にルーツを持つ言語です。英単語との類似性がよく分かりますね。
フランス語 pouce / doigt
イタリア語 pollice / dito
スペイン語 pulgar / dedo
これらはいずれもラテン語にルーツを持つ言語群であり、単語もまたラテン語に由来します。
対して、親指とそれ以外の指を英語のように区別しない言語もあります。
ハンガリー語の場合
フィン・ウゴル語派という言語グループに分類され、フィンランド語やエストニア語などと近い関係にあるとされるハンガリー語。
この言語において親指はhüvelykujjと表現しますが、これはhüvelyk + ujjから成る単語です。
hüvelykは、hüvely「(刀の)さや」に由来するようで、すなわち「さやの指」と訳せるでしょうか。
いずれにせよ、日本語の親指と同様に○○指という表現であり、英語thumbのように個別の単語が用意されているわけではありません。
ただし、hüvelykのみでも親指という意味で用いることができるようです。
ロシア語の場合
ロシア語における親指は、большой палец(以後ラテン文字で表記:bol’shoj palec)と表現します。順に訳すと、「大きい指」です。
なお、ハンガリー語ujjとロシア語palecはどちらも手の「指」にも足の「指」にも用いることができます。
これら言語における「指」の表現は、日本語の場合と同様であると言えます。
スラヴ語派における「指」と「親指」
ロシア語では「親指」のことを、大きい指という意味のbol’shoj palecだと上で示しました。
ロシア語palec「指」はスラヴ祖語から派生したとされていますが、同じスラヴ語派であるチェコ語palecやポーランド語palecなどにも同源とする単語があります。
ところが語源を同じくしながら、その意味は言語によって微妙に異なるのです。
チェコ語 palec「親指」
ポーランド語 palec「指」
チェコ語においてpalecは親指のことであり、それ以外の指にはprstという単語があります(なおprstのつづりに誤りは無く、子音のみから成る語はスラヴ語派に特徴的です)。
一方、ポーランド語でpalecと言えば親指を除く「指」を指すのであり、親指のことはkciukと表現するのです。
ほかのスラヴ語派の言語ではどうかというと、ベラルーシ語やウクライナ語ではロシア語と同じ考え方でした。
すなわち「指」がpalec(ベラルーシ語)やpalec’(ウクライナ語)であって、親指は「大きい指」に相当する表現です ※それぞれラテン文字表記、本来はキリル文字表記。
それに対し、スロベニア語やブルガリア語においては「指」がprst(スロベニア語)やprǎstであり、親指はpalecでした ※ブルガリア語は本来キリル文字表記。
地図を広げてみるとロシア及びその周辺の言語はpalecが「指」という意味であり、それ以外ではpalecが「親指」という意味が支配的であるようです。
スラヴ語圏では「指」を何と表現するか、言語ごとにしっかりと覚えておかないといけませんね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は「指」に相当する外国語について調べてみました。
同じ対象でも、言語によってどう捉えて表現しているかは異なるということですね。
今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。

