ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
以前の記事で、英語における接頭辞"pre-"と"pro-"の違いを調べました。
どちらも「前に」という意味を持つ接頭辞ですが、そのイメージには以下の違いがあるということでした。
1.pre-
順番・時間的に「前に」、英語"before"に相当。
2.pro-
方向・空間的に「前に」、英語"forward"に相当。
そして、そのイメージを踏まえて"premise"と"promise"というよく似た英単語を比較しました(詳細については、こちら)。
今回も、同じようによく似た英単語を取り上げて、接頭辞のイメージを踏まえてその違いを明確にしたいと思います。
よく似た"prescribe"と"proscribe"の違いとは?
今回取り上げる単語は次の2つです。
①prescribe
②proscribe
語根がどちらも"scribe"ということで、見間違えてしまう程よく似ています。
この単語の持つ意味について、接頭辞と語根の持つイメージから考えてみましょう。
接頭辞"pre-"と"pro-"のイメージは上に示した通りです。
語根の"sccribe"は、ラテン語の動詞"scribo"「(私は)書く」に由来します。
では、接頭辞と語根それぞれのイメージを当てはめてみましょう。すると以下の通りになりました。
①prescribe:pre「(順番・時間的に)前へ」+ scribe「書く」
②proscribe:pro「(方向・空間的に)前へ」+ scribe「書く」
辞書での定義は以下の通りです。
① [動]処方する、規定する、《法律用語》時効にする
② [動](政治団体・習慣を)禁止する、非難する
どうでしょう、接頭辞の"pre-"と"pro-"がイメージ通りに反映されているでしょうか。
"prescribe"の成り立ちとは?
接頭辞+語根のイメージを補完するために、それぞれの単語のルーツを紐解いてみましょう。
まずは"prescribe"から。このイメージはpre「(順番・時間的に)前へ」+ scribe「書く」でした。
mid-15c., prescriben, "to write down as a direction, law, or rule," from Latin praescribere "write before, prefix in writing; ordain, determine in advance,"(中略)Medical sense of "advise, appoint, or designate as a remedy for a disease" is from 1580s,
対訳:15世紀半ば、prescriben「指示、法律、規則として書き留める」、ラテン語praescribere「前に書く、書面の前に置く」転じて「定める、事前に決定する」から(中略)、「病気の治療薬として助言する、定める、指定する」という医学的用法は1580年代に遡る、
(参照:Online etymology dictionary)
"prescribe"が英語で使われるようになったのは15世紀半ば、当初はラテン語からの意味がよりしっかりと反映されていたことが伺えます。何かを想定して、事前に定めておくというイメージですね。
現代の「処方する」という意味は1580年代以降ということで後から派生したようですが、患者に対して必要となる薬の種類や量を(事前に)定めるいうイメージが元になっているであろうことは想像に難くありませんね。
"proscribe"の成り立ちとは?
続いては、"proscribe"について。こちらのイメージはpro「(方向・空間的に)前へ」+ scribe「書く」でした。
early 15c., proscriben, "write before or in front, prefix," from Latin proscribere "publish in writing" (literally "write in front of"), including "publish as having forfeited one's property; condemn, outlaw before the world,"
対訳:15世紀初め、proscriben「前に書く、接頭語」、ラテン語proscribere「書面で公表する」(原義は「~の前に書く」)から、「ある人の財産を没収したことを公表する」、転じて「非難する、世間的に違法化する」という意味も含む、
(参照:Online etymology dictionary)
何かを公表するというのは昔ならば立札とか張り紙でしょうか。現在ではモニターなど電子上の掲示もありますが、いずれにしても対象に向けて前面に書かれているというイメージが浮かんできます。
なお、公表される内容は良いものではなかった為か、現代では「禁止する、非難する」という意味となったのだと思われます。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は"prescribe"と"proscribe"という、よく似た2つの単語について調べてみました。
ルーツを紐解いてみると、接頭辞+語根それぞれのイメージが土台としてり、現代の用法が派生していることが伺えますね。
このように、接頭辞+語根のイメージとルーツの2点を押さえることで語彙をより一層充実できるのではないかと思います。