ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
倉庫、物置、納屋。これらは物品を貯蔵・保管しておく場所を指す用語ですね。
ネットでこれら用語の違いを調べると、「AIによる概要」として以下の情報が得られます。
倉庫:商業用・大量の資材保管の建物。
物置:家庭用・少量の雑多な物の保管の建物。
納屋:農具・農作物保管の建物。
必ずしも厳密に当てはまるわけではないと思いますが、ニュアンスとしては確かにこの通りではないでしょうか。
なお物置という単語には、物品を保管しておく場所や空間を広く指す用法もあるかと思います。
英語"barn"「納屋」の語源とは?
今回は、「納屋」に相当する英語"barn"について調べてみました。
実は英語"barn"のルーツを紐解いてみると、農作物との深い関りが見えてきます。
(引用)
Middle English bern, bærn, from Old English bereærn "barn," literally "barley house,"
対訳:中英語bern、bærn、古英語bereærn「納屋」、原義は「大麦の家」に由来、
(参照:Online Etymology Dictionary)
"barn"の語源を遡ると、もとは「大麦の家」という意味だったとのこと。大麦を保管する場所がはじまりだったというわけです。
古英語時代の"bereærn"は、"bere"と"ærn"とに分割することができます。前半の"bere"とは"barley"「大麦」のことであり、後半の"ærn"は「家、保管場所」という意味なのだそうです。
時代を経て、単語が圧縮された結果、現在のつづり"barn"となったのでした。
英語"barley"はもともと形容詞だった?
"barn"の語源を遡ると、「大麦」が関わっていることが分かりました。
ところで、古英語の時代に「大麦」は"bere"だったのが現代英語では"barley"となっています。
"barn"が古英語時代の"bereærn"からつづりが短く圧縮されている一方で、"barley"はつづりが長くなっているように見えますね。
語源を遡ると、つづりの変化の理由が見えてきます。
実は、"barley"は現代英語では名詞として扱われますが本来は形容詞だったのです。
from bere "barley" + -lic "body, like."
対訳:bere「大麦」+ -lic「~のような」から。
(参照:Online Etymology Dictionary)
つづりが長くなっている部分は、もともと形容詞化するための語尾だったというわけですね。
イギリスに残る「納屋」由来の地名・人名
大麦は、ビールやウィスキー、パンの材料として知られていますが、アングロ・サクソン時代(5~11世紀)のイングランドではとても重要な穀物という位置づけだったのだそうです。
だからこそ、大麦を専用に保管しておく場所として"barn"が整えられたということでしょう。
Online Etymology Dictionaryには、他にも興味深い情報がありました。
Another word for "barn" in Old English was beretun, "barley enclosure" (with tun "enclosure, house"), which accounts for the many Barton place names on the English map and the common surname.
対訳:古英語で「納屋」を意味する単語は他にberetun「大麦の囲い」(tun「囲い、家」を伴って)があり、これはイングランドの地図上に多数あるBartonという地名やありふれた姓の由来となっています。
(参照:Online Etymology Dictionary)
なお、"tun"とは現代英語"town"のルーツです。今でこそ"town"は「町」という意味ですが、もとは引用中にもある通り「囲い」を表していました。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、"barn"という英単語について調べてみました。
納屋や倉庫とは、単に物品を置いておくだけでは無く重要なものを適切に管理しておくための場所でもあるわけですね。"barn"の語源からも、そのことがよく分かりました。
今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。