ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
残念ながら年々凶悪化する犯罪に対し、日ごろからの防犯対策がますます大切になっています。
基本的には玄関や窓などは必ず施錠することはもちろん、ツーロックによる強化も良いかもしれません。
また、鍵の不正な複製防止も効果的でしょう。
ドイツ語における「鍵」と「錠」
ドアや窓の開閉を制御しているのは「鍵」と「錠」です。なお、「鍵」と「錠」を合わせた総称として「錠前」という表現もあります。
英語では「鍵」を"key"、「錠」を"lock"と言いますが、ドイツ語ではこの2語はとてもよく似ています。
鍵 Schlüssel [シュリュッセル]
錠 Schloss [シュロス]
錠前を構成する「鍵」と「錠」が似た単語であるというのは、その機能を考えれば当然と言えます。それぞれの語源を見てみましょう。
1.Schlüssel「鍵」の語源
from Proto-West Germanic *slutil, which is derived from *sleutan (“to close”), from which also modern German schließen.
現代ドイツ語schließen に当たる*sleutan「閉める」から派生した西ゲルマン祖語*slutilがルーツ
(参照:en.wiktionary)
2.Schloss「錠」の語源
from Old High German sloȥ, ablaut to the verb schließen.
動詞schließenの母音交代による品詞変化形、古高ドイツ語のslozがルーツ。
(参照:en.wiktionary)
そのルーツは、どちらも「閉める」という意味の動詞(現代ドイツ語"schließen"、西ゲルマン祖語*sleutan)にルーツがありました。
鍵と錠によって「閉める」ことが可能になるというイメージが容易に想像できますね。
ちなみに、引用文中にある"ablaut"とは母音交代により単語の機能を変化させることを指します。
上の場合、元の動詞"schließen"の母音"-ie"が"-o"へ交代することにより名詞"Schloss"が派生しています。
"ablaut"は英語に於いても見られ、例えば動詞"sing"「歌う」に対する名詞"song"「歌」がありますね。
ドイツ語"Schloss"の「錠」以外の意味とは?
ところで日本語で「鍵」とは文字通りには開錠・施錠するための道具を指しますが、比ゆ的に「手がかり、秘訣」といった意味もあります。
この用法はドイツ語でも同様で、"Schlüssel"には文字通り道具としての「鍵」のほかに「手がかり」という意味でも用いられます。
では「錠」はどうでしょうか。漢字の「錠」は、今回のような装置のほか薬の錠剤という単語でも使われています。
これは「錠」という漢字が持つ金属を一定の形に固めるというイメージが元となり、一定の形に固められた薬を指すようになったそうです。
対してドイツ語の"Schloss"にも「錠」以外の意味があります。それは「お城」です。
ルーツは同じです。「お城」も、やはり外からは簡単に侵入できないよう閉ざされた立地や機構のもとに成り立っており、「閉じる」という元のイメージがぴったりです。
ドイツ語圏で有名なお城と言えば、1つはノイシュバンシュタイン城でしょうか。ドイツ語では、Schloss Neuschwansteinです。
高台の上にそびえる立派なお城からは、"Schloss"という語のイメージが確かに感じられます。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、ドイツ語における「鍵」と「錠」について調べてみました。これら単語のカギは「閉じる」という動詞にあったのですね。
今後も興味深い発見があれば、当ブログにて紹介していきたいと思います。