ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
なぞなぞの定番に「パンはパンでも、食べられないパンは?」というものがあります。
定番の答えは「フライパン」でしょう。しかしながら、「ピーターパン」とか「順風満パン」とか…ひねれば他にも答えが出てきます。
結局のところは言葉遊びですので、語尾に「…パン」がつく言葉で食べられないものであればそれも答えになるというわけですね。
ペンはペンでも、書くことができない「ペン」とは?
今回は、パンではなく「ペン」について考えてみたいと思います。
ボールペン、サインペン、筆ペン…
これらはいずれも文字等を書くための「ペン」です。書くことができなければ「ペン」とは言えません。
それにもかかわらず、書くことができない「ペン」はあるのでしょうか? 実は、あるのです。
では当記事のタイトルにもなっている問、「ペンはペンでも、書くことができない「ペン」とは」一体何でしょうか?
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答えは、英語"pen"です。
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ちょっと待ってください。英語"pen"は、上で挙げたボールペンとかサインペンとかの「ペン」に相当する部分です。
英和辞書を紐解いても、「ペン、万年筆、ペンで書くこと」など筆記用具としての意味が書かれています。
それが書くことができない「ペン」とは一体どういうわけなのでしょう?
実は、英語"pen"には筆記用具としての意味の他に、まったく異なる別の意味があるのです。
もう1つの英語"pen"とは?
辞書には、もう1つの"pen"の意味として「(家畜の)おり、(監禁・保護用の)囲い」という項目が載っています。
これこそが、書くことができない「ペン」だったのです。
異なる2つの意味を持つ"pen"、これらの間には何か関係があるのでしょうか。
1. 筆記具を意味するpenの語源とは?
まずは、書くことができる方、筆記具としての"pen"について語源を調べてみましょう。
from Old French pene "quill pen; feather" (12c.) and directly from Latin penna "a feather, plume," in plural "a wing," in Late Latin, "a pen for writing,"
対訳:古フランス語pene「羽ペン、羽」(12世紀)から、またはラテン語penna「羽、羽飾り」(複数形で「翼」)、後期ラテン語の「筆記用の羽」から直接英語に取り入れられた
(出展:Online Etymology Dictionary)
調べてみると、もとは"pen"とは「羽」を意味する単語でした。
古い西洋画で、羽を使って文字を書いている人物の姿を見たことがある方もいるかもしれません。
いわゆる羽ペンで、尖らせた羽の先にインクを付けて文字を書くのにかつて用いられたのですね。
そのため、"pen"「ペン」の語源はラテン語で「羽」を意味する"penna"だったというわけです。
2. おり・囲いを意味する"pen"の語源とは?
今度は、書くことができない方の"pen"のルーツを見てみましょう。
Old English penn, penne, a word of uncertain origin, perhaps related to Old English pinn "pin, peg" on the notion of a bolted gate or else "structure made of pointed stakes."
対訳:古英語penn、penne、起源不詳の語。恐らく古英語pinn「ピン、ペグ」と関連があるとされ、ボルトで固定された門、あるいは「とがった杭で作られた骨組み」というイメージによるものと思われる。
(出展:Online Etymology Dictionary)
正確なルーツは不詳であるものの、"pin"「ピン」(古英語"pinn")に関連する可能性が示唆されており、"pen"「ペン」とは全く無関係の語でありました。
あまり馴染みが無い、もう1つの"pen"…?
ということで書くことができない"pen"とは、筆記具の"pen"とは全く関係の無い別ルーツの単語であったことが分かりました。
とはいえ今回、おり・囲いという意味での"pen"はほとんどの方が知らなかったのではないでしょうか。そもそも日常的に用いられている語なのでしょうか?
実はこの"pen"、ある分野では欠かさず見聞きする単語です。何でしょうか?
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答えは、野球の「ブルペン」でした。
控えの投手が投球練習をする場所である「ブルペン」は、英語bullpenに由来します。前半の"bull"は「雄牛」、後半の"pen"が「囲い」という意味であり、つまりは「牛の囲い」が元の意味であったというわけです。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、「ペンはペンでも、書くことができない「ペン」とは?」ということで、なぞなぞ風に英語の"pen"について調べてみました。
誰もが知る筆記具としての"pen"以外にも、異なる意味の用法があるというのは意外だったのではないでしょうか。
今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。