ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
英語における接尾辞"-er"は、動作の行為者を表す機能の代表的存在です。
例えば"sing"「歌う」から派生した"singer"「歌手」や"play"「遊ぶ」から派生した"player"「選手」が思いつきますが、これらは「シンガー」や「プレイヤー」のように日本語の中にすっかり取り込まれています。
なお、行為者の主体は常に人に限らずモノもあり得ます。
例えば、"erase"「消す」から派生した"eraser"には「消しゴム」という意味があります。他に、"scrape"「擦る」から派生した"scraper"は何かを擦ったり削ったりするものを指しますが、"sky scraper"で「超高層ビル」という表現もあります。
"sky"「空」を"scraper"「擦るもの」ということですが、日本語の「摩天楼」と通じる表現です。
英語"prayer"の意味とは?
語尾"-er"を持つ語は非常に多く枚挙に暇ありませんが、今回は"prayer"という語について調べてみたいと思います。
動詞"pray"「祈る」から派生した"prayer"は「祈る人」という意味になります。
ところが、"prayer"には行為者の意味しない「祈り」という名詞的用法もあるのです。
英語において"Lord’s prayer"は「主の祈り」という意味です。この場合、行為者を表してはいません。
なぜ行為者の意味と、動作の名詞化に同じ語尾"-er"が使われているのでしょうか。
名詞「祈り」としての"prayer"の語源とは?
この単語のルーツを紐解いてみましょう。
そもそも派生元の動詞"pray"ですが、遡るとフランス語を経由して英語にもたらされたラテン語由来の単語でした。
ラテン語で「祈る」という動詞不定形は"precari"でした。中世ラテン語の時代になると、これから名詞形がつくられ"precaria"「嘆願、祈り」となります。
"precaria"はフランス語において古くは"prier"となりました。語中の"-c-"は変化の過程で焼失してしまったのです。現代フランス語でも"prière"であり、語中"-c-"はすっかり見当たりません。
これが英語に取り入れられたわけですが、やはりラテン語時代にあった語中"-c-"は日の目を見ることも無く、1300年頃の"preiere"を経て現代英語"prayer"へと至ります。
つまり、名詞「祈り」という意味での"prayer"の成り立ちには、行為者を示す接尾辞"-er"は全くの無関係であったというわけです。
これに対し、「祈る人」という意味の"prayer"は動詞"pray"に接尾辞"-er"をくっつけた形だったというわけです。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は名詞"prayer"について調べてみました。
「祈り」と「祈る人」という異なる意味は、異なるルーツから成り立っていたものの、結果として同一語形に落ち着いたということだったのですね。
なお、"prayer"は「祈り」という意味では[プレア]のような発音に対し、「祈る人」という意味では[プレイヤー]のような発音が正式とされており、用法によって発音が異なります。
2語の使い分けの参照となれば幸いです。