ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
慣れない土地で目的地や最短経路を調べたいときに役立つのが地図ですね。
かつて海外旅行の持ち物には現地の地図を収めたガイドブックが必須だったと思います。また、訪れた都市の中央駅やインフォメーションセンター等でシティマップをもらいに行ったこともありました。
今ではスマホの地図アプリですぐに確認できるので、便利な時代になったものだとつくづく思います。
地図の上に示された"legend"とは?
ただ今でも海外旅行先では現地のシティマップを極力もらって帰るようにしています。
理由は記念になるということも一つですが、他に現地語に触れることができるツールでもあるからです。
以前、旅行中にシティマップを手に入れたときのこと。一旦ホテルに戻って、地図を眺めていると"Legend"という単語が目に飛び込んできました。
「伝説」という意味の"legend"が、なぜ地図上に記載されているのだろうか?
はたして手にしている地図は、実は伝説のアイテム(?)だったのか。
と胸を躍らせたのですが、調べてみると"legend"には「伝説」だけではなく他の意味も存在していたのです。
それは「凡例(はんれい)、地図記号」です。
余談ですが、私はずっと凡例の読みを「ぼんれい」だと思っていました。平凡という字から連想していたのかもしれません。正しくは「はんれい」です。
よって、私の手にした地図は全く伝説のアイテムなどでは無く、単に地図上の記号について説明しているというわけでした。
なお、英語版Wiktionaryで"legend"を調べると「地図上の記号」という意味がちゃんと収載されていますが、以下の例文が添えられています。
According to the legend on the map, that building is a school.
(参照:en.wiktionary.org/wiki/legend)
この例文の訳は何でしょうか。前半部は「この地図上の伝説によると…」ではありませんよね。
「この地図上の凡例によると、この建物は学校を示している」ですね。
"legend"の語源とは?
「伝説」と「凡例」では意味の重みがだいぶ変わるように感じてしまいますが、語源的に何か関連があるのでしょうか?
"legend"の語源を紐解いてみましょう。
from Old French legende (12c., Modern French légende) and directly from Medieval Latin legenda "legend, story," especially lives of saints, which were formerly read at matins and in refectories of religious houses, literally "(things) to be read," on certain days in church, etc.,
対訳:古フランス語legende(12世紀、現代フランス語のlégende)を経由して、または中世ラテン語legenda「伝説、物語」から直接取り入れられた、かつて朝の礼拝や修道院の食堂で読まれていた聖人の伝記を特に指し、原義は教会等に於いて特定の日に「読まれるべき(もの)」から。
(出展:Online etymology dictionary)
"legenda"はもともとラテン語の動詞"legere"「読む(英:read)」から派生した形容詞で、単に「読まれるべき」という意味でした。
当時、「読まれるべき」ものは聖人の伝記であったことが現代の「伝説」という意味のルーツになっているというわけです。
その後、聖人が関係しないような物語も指すようになり(14世紀頃)、更にコインやメダル等に刻まれた文字や碑文も17世紀には指すようになったそうです。
今回の用例である、「凡例」は最も新しく1903年から見られるとのこと。
時代とともに意味が広がっていった"legend"ですが、いずれにせよ「読まれるべき」ものという原義が根底にあることが分かりますね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、"legend"という単語について調べてみました。
「伝説」という意味の"legend"は知られていても、今回のような「凡例、地図記号」という意味はなかなか浮かばないのではないでしょうか。
今後も興味深い発見があれば紹介していきたいと思います。