ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
英語において"-y"は、名詞や動詞から形容詞を派生する接尾辞として活躍します。
例えば、名詞"mess"「散らかった状態」から派生した"messy"「乱雑な」、動詞"slip"「滑る」から派生した"slippy"「滑りやすい」等。
なお、元の単語は(可算)名詞であれば単数形で、動詞であれば原形というのが一般的だと思います。
しかし、中には名詞の複数形に接尾辞"-y"がついて派生した形容詞が存在するのです。
名詞の複数形から派生した形容詞とは?
先日、NPRというサイトにて以下のニュース記事を読んでいたところ、気になる単語に遭遇しました。
Americans are feeling antsy
(出展:www.npr.org/2025/04/30/nx-s1-5380204/trump-economy-gdp-tariffs-recession-consumers)
かねてから世界がその動向に注目している、トランプ大統領による関税政策についての記事です。
"The U.S. economy shrinks as Trump's
tariffs spark recession fears"「トランプ大統領の関税による景気後退懸念で、米国経済は縮小」というタイトルの記事中、小見出しに上の引用文がありました。
「アメリカ人は"antsy"だと感じている」ということですが、この"antsy"とは何でしょう?
"antsy"とは、「落ち着かない、そわそわしている」という意味の形容詞ですが、実は"ant"「アリ」の複数形"ants"に接尾辞"-y"がついた単語なのです。
引用文、"Americans are feeling antsy"とは「アメリカ人は落ち着きなく感じている」ということになります。
大幅な関税により米国における輸入コストの増加と物価上昇が懸念され、消費が落ち込む状況に動揺を隠せないというのは想像に難くないでしょう。
"antsy"の語源とは?
複数形"ants"に接尾辞"-y"がつくという例は珍しいですが、そもそも"ants"「アリ」から派生した形容詞が「落ち着かない、そわそわしている」という意味になっているのはなぜでしょうか。
働きアリが、巣と餌場の間を落ち着きなく往復している様に由来するのでしょうか?
実は、英語には"ants"を用いた以下のフレーズ(スラング)があります。
have ants in (one's) pants
直訳すると「パンツ(ズボン)の中にアリがいる」ですが、これで「落ち着きが無くそわそわしている」という意味の表現です。
アリが一匹ならひょっとすると気づかないかもしれませんが、複数のアリがズボンの中を動き回っていたら、確かに落ち着いてはいられませんね。
ただしOnline etymology dictionaryによると、このフレーズが使われるより1世紀も前の1838年にはアメリカ英語で"antsy"という語の記録があるようです。
もしかすると"antsy"からイメージがふくらんで、"have ants in (one's) pants"というフレーズが生まれたのかもしれません。
なお、フレーズにおいて"ants"と"pants"は韻を踏む表現になっています。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、"antsy"という語を紹介しました。
引用でも示した通りNPRという米国のニュースサイトでも用いられている単語であり、フレーズも含めて知っておいて損はない表現です。
今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。