ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
ドイツ語において「知っている」という表現は、どう知っているのかによって異なる単語で使い分ける必要があります。
一口に「知っている」といっても、知識として知っているのか、経験によって知っているのかで異なるというのです。
例えばドイツの首相は誰ですか?と尋ねられてフリードリヒ・メルツ氏ですと答えられるのは、前者(知識として知っている)だと言えます。
一方で、もしもメルツ氏と面識がある場合は後者(経験によって知っている)だと言えます。
ドイツ語では前者をwissen、後者をkennenとして使い分けます。
よく似ている? kennenとkönnenの関係とは
どう知っているかによって使い分けるドイツ語の動詞のうち、今回はkennenの方に注目してみましょう。
ドイツ語には、綴り、音が似た単語にkönnenがあります。
母音-o-のうえに点々(ウムラウト)がついています。この発音は「オ」でも「エ」でも無く、「オ」と「エ」の中間にあたるような日本語には無い音です。
「オ」を発音するときのように口を丸めて、その状態のまま「エ」を発音することによって得られます。
このよく似た2つの単語、実は語源を尋ねるとルーツを同じくしていることが分かります。
以下に、両者の歴史をまとめました。
この図の通り、kennenとkönnenのルーツは印欧祖語の*ǵneh₃-「知っている」へ至るとされています。ゲルマン祖語の時代に一方は接尾辞がついて、以降は別の単語として続いていったというわけです。
なお、könnenは「できる」という意味で、可能を表す助動詞です(英語canに相当)。
経験により知っているというのは、「できる」という意味と表裏一体の関係であると言えますね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、ドイツ語の動詞kennenおよびkönnenについて調べてみました。
ルーツを辿ることで、ドイツ語圏における「知っている」ことと「できる」ことに対する考え方が分かりますね。
なお、知識として知っている方の動詞wissenのルーツは印欧祖語の*wóyde「見る、知る」とされています。
ラテン語ではvideo「(私は)見る」の語源ともなっています。
見ることと、知識として知っている状態が関連しているというのも、つながりとしてイメージしやすいですね(参照:en.wiktionary)。

