ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
人間が持つ様々な感情を一言にまとめた表現に「喜怒哀楽」という四字熟語があります。
喜びから怒り、哀しみから楽しみ等々、感情は移ろいゆくものですが言葉の用法においてもそれは同じようです。
今回は、英語sadという単語について調べてみました。
sadの本来の意味とは?
基本的な単語ではありますが、改めて辞書でsadを紐解いてみると主に「悲しい、痛ましい」という意味であることが分かります。
このようにネガティブな感情を表す形容詞だというのがsadに対する認識かと思いますが、そのルーツを尋ねると本来は全く異なる意味を持つ単語だったのです。
Old English sæd "sated, full, having had one's fill (of food, drink, fighting, etc.), weary of,"
対訳:古英語のsæd「満足した、満ちた、(食べ物、飲み物、戦い等で)いっぱいの、飽き飽きした」
(出展:Online etymology dictionary)
古英語の時代(5~12世紀頃)には「満足した」という意味だったのです。満ち足りた状態は一方では十分を越え過剰な状態とも言え、並行して「飽き飽きした」という意味も存在していました。
その後、中英語から近代英語の時代(12~16世紀頃)にかけて、sadは「確立された、定められた;硬い、堅固な、しっかりした;酔っていない、真面目な;整然として規則的な」というのが主流の意味となったそうです。
満足した状態は安定していると捉えられますが、一方で満たされていることからくる重量感から「飽き飽き、うんざり」という意味にもつながり、現代には「悲しい」というネガティブな意味のみになってしまったというわけでした。
sadと同源の単語とは?
現代では「悲しい」という意味へと変化したsadですが、こうした意味の変化は英語においてのみであるようです。
ルーツを同じくするドイツ語のsatt [ザト]は、「満腹の、飽き飽きした」という本来の意味を保っています。
また、英語に於いても別の形で本来の意味を保った単語があります。
それがsatisfy「満足させる」の前半部、satisです。
この単語は、ラテン語でsatis「十分な」+ facio「する」から成り立っており、すなわち「十分な状態にする(満足させる)」という意味ができました。
このsatisとsadは実は同じ語源から始まっていたのです。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、英語sadについて調べてみました。
現代の意味「悲しい」は、紆余曲折な意味の変化を経た結果だったのですね。
またルーツを尋ねることで、satisfyの前半部satisとsadが同源だという事も分かりました。
今後も興味深い発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。


