ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
情報化社会という言葉がありますが、その定義は「情報がモノやエネルギーに匹敵する、またはそれ以上に重要な資源として社会活動に活用される状態」を指すのだそうです。
情報として何かを知っているということは、活用次第で大きな利点や利益をもたらすものになるというわけですね。
昔から重要であった「知っている」ということ
我々の日常生活において情報の重要性は言うまでもないでしょう。簡単な例を挙げれば、いわゆるライフハックは生活利便性を向上させる情報として様々なメディアで目にします。
ところで、「知っている」ことの重要性は何も今に始まったことではありません。
昔は、「知っている」かどうかが時には生死をも分けたはずです。
フランス語の動詞"savoir"「知っている」の語源を見てみましょう。
Inherited from Old French savoir, saveir, from Vulgar Latin *sapēre, from Latin sapĕre (“taste, know”).
対訳:古フランス語savoir、saveir、俗ラテン語*sapēre、ラテン語sapĕre「味を見分ける、知っている」から。
(参照:en.wiktionary)
現代フランス語では「知っている、できる」という意味の"savoir"ですが、由来となったラテン語の時代には「味を見分ける」という用法があったのです。
日本においてもかつては毒見役という、重要人物の食事に毒が盛られていないかと事前に確認する業務が存在しました。
食べ物(の味)が適切かどうか分かるというのは、自分の身だけでなく他社の命も守ることができ、大変重要な知識だったと思われます。
また、フランス語で"saveur"という名詞は「味、風味」を意味しますが、この語源はラテン語"sapor"であり動詞"sapere"からの派生形なのです。
同じルーツに由来しながら動詞"savoir"は「知っている」、名詞"saveur"は「味」という意味にそれぞれ発展したというのは面白いですね。
なお、"savoir"は「知識」という意味で名詞としても用いることができます。
私たちは「知識のある人間」?
私たち人間は学名上「ホモ・サピエンス(ラテン語:Homo sapiens)」と名付けられていますが、この「サピエンス」もまたラテン語"sapere"の派生語です。
"sapiens"とは"sapere"の能動態現在分詞形であり、「知識のある、賢い」という意味があります。
すなわち前半部の"homo"「人間」とあわせてホモ・サピエンスとは「知識のある人間」というわけですね。
ちなみにWikipediaによれば、亜種としてホモ・サピエンス・イダルトゥという種も過去には存在していたそうです。
しかしながら既に絶滅しており、ホモ・サピエンスは学術分類上でヒト属における唯一の現存種ということになっています。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、フランス語の動詞"savoir"について調べてみました。
現代では「知っている、できる」という汎用的な意味の単語ですが、本来は味を見分けられるという具体的な能力の意味があったのですね。
ちなみに、フランス語には他にも"connaître"「知っている」という動詞があります。
"savoir"と"connaître"の使い分けは、前者が知識、情報などが対象となる一方、後者は事柄、人物などが対象となるという点です。
今後も語源に関する興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。