ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
今から十数年前、進学のため地方から上京した私は暇を見つけては都内を散策していました。
東京(特に都心部)は、細かな地区割にたくさんの町名があります。
例えば東京駅からもほど近い「人形町」という地域は、かつて江戸時代に歌舞伎や人形浄瑠璃などを見せる小屋が集まり、人形作りの職人や人形を操る人が多く住んだことに由来する町名です。
近代的な高層ビルの立ち並ぶ現代の都市景観からは想像もつきませんね。
また、今では消滅してしまった旧町名を伝える標識や石碑も都内には至るところにありますが、旧町名から往時の様子を偲ぶのも面白いものです。
海外でもできる、地名をめぐる散策旅
大都市には鉄道やバスといった公共交通機関が縦横無尽に張り巡らされているため、それらを利用すれば目的地へは簡単にアクセスできるでしょう。
しかし、そうした移動では通り過ぎてしまいがちな場所をあえて訪ねてみるというのも、旅の醍醐味ではないでしょうか。
ヨーロッパには、中世の時代から変わらぬ都市景観や昔からの地名が残るスポットも数多くあります。
何の変哲もない場所が、その名前を調べてみると興味深い発見があるかもしれません。
今回は、世界的な大都市ロンドンにおける一例を紹介したいと思います。
ロンドンの都心部にある「安い通り」とは?
ご存じの通り、ロンドンは英国の首都であるだけでなく経済面で世界を代表する国際都市の一つでもあります。
その歴史は大変古く、今から二千年も前にローマ帝国によって建設された都市ロンディニウムにまでさかのぼることができます。
当時から、ブリテン島における交通の要衝であり商業の中心地として発展していたそうです。
古代ローマ人はロンディニウムの周囲に防御壁を築きました。この壁に囲まれていたエリアが、現代のロンドン都心部「シティ・オブ・ロンドン」に相当します。
"the City"と言えばそれは固有名詞として、「シティ・オブ・ロンドン」のことを指します。
このシティの東端、ロンドン橋やロンドン塔にもほど近いところに"Eastcheap"という名の通りが存在します。
様々な飲食店やオフィスビルが立ち並ぶ賑やかな通りです。
都心に位置するにも関わらず、この通りはなぜEast ”cheap”「東の安い」通りという名前なのでしょうか。
実は"cheap" =「安い」という意味では無い
今では英和辞書を繰ってみると、"cheap"という単語には「安い」という他に「安上がり」とか「安っぽい」というネガティブな意味しか見受けられません。
ところが"cheap"とは、そもそも「市場」という意味の単語だったのです。
ultimately from Old English noun ceap "traffic, a purchase," from ceapian (v.) "to trade, buy and sell,"
対訳:ルーツは古英語の名詞ceap「取引、購買」で、動詞ceapian「取引する、売買する」から。
(出展:Online etymology dictionary「cheapの語源」より)。
つまり"Eastcheap"とは、「東側の市場」という意味だったのです。
なお西側で開かれていた市場の一帯は、現在"Cheapside"という名前で残っています。
もちろん、"Cheapside"は「安い側」という意味ではありませんのでご注意を。
こちらもセント・ポール大聖堂に近い、ロンドンの都心部を走る通りです。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、英国の首都ロンドンの地名について紹介しました。
世界的な大都市の、まさに都心部にある通りに"cheap"という語がついているのは驚きですが、語源を尋ねることで背景が分かりましたね。
今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。