【雑学】お茶の色や発音にまつわる外国語のお話

2024/10/28

英語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

古くから広く親しまれているお茶は、製造方法の違いによって様々な種類があります。

今回は、お茶をめぐる外国語の表現について調べてみました。


1.「紅茶」の色は紅か黒か?

日本語「紅茶」は、お隣の中国語でも「紅茶(Hongcha)」です。

ところがご存じの方も多いと思いますが、西洋では黒色があてられます。

 英語    black tea [ブラック ティ]

 ドイツ語  Schwarztee [シュヴァルツテー]

 フランス語 thé noir [ ノアール]

いずれも黒色を表す語が含まれています(英語"black" ドイツ語"Schwarz" フランス語"noir")が、なぜ黒色なのでしょうか。

こちらのサイトによると、以下の解説があります。

Although compressed, post-fermented teas (pu-erh) were already known as “black teas” in China, the term was usurped by Dutch and British traders who began identifying Chinese “red teas” as “black teas” because of the color of the dark, dry leaves.

対訳:中国では圧縮された後発酵茶(プーアル茶)が「黒茶」として既に知られていましたが、オランダやイギリスの商人は暗く乾いた葉の色から中国語の「紅茶」に対し「黒茶」の名前を当てました。

(出典:www.artoftea.com/blogs/tea-101/what-is-black-tea

そもそも中国では別の種類のお茶を「黒茶」と呼んでいたのが、西洋が紅茶を取り込む際に茶葉の色から名前が転用されてしまったのですね。


2.お茶の発音は、「テ」それとも「チャ」?

現代英語では"tea"とつづり [ティ]という発音が標準ですが、17世紀頃には"tay"とか"thea" "tee"などのつづりもあったようです。

また、その頃の発音は[テイ]のようだったそうで、当時の詩人(PopeGay)が"obey"や"pay"という語と韻を踏んだ詩も見られるのだそうです(参照:etymonline.com)。

ところが、更に時代を遡って16世紀頃には"chaa"や"cha" "tcha" "chia" "cia"といった表記もあったようです。

この"tea"と"chaa"のそれぞれについて、Etymology online dictionaryによると以下の解説がありました。

The two forms reflect two paths of transmission: chaa, etc. are from Portuguese cha, via Macao, from Mandarin (Chinese) ch'a. The later form, which became Modern English tea, is via Dutch thee, from Malay teh and directly from Chinese (Amoy dialect) t'e, which corresponds to Mandarin ch'a.

対訳:この2つの形式は、2つの伝播ルートが反映された結果です。すなわち、chaa等は中国語(官話)のch'aがルーツで、マカオを経由してポルトガル語chaから英語に入りました。現代英語でteaとなったもう一方の形は、中国語(官話)のch'aに相当するアモイ方言のt'eから直接、またはマレー語のtehからオランダを経由して英語に入りました。

(参照:Online etymology dictionary

ルーツはどちらも中国語ですが、地域によって異なる発音が異なるルートで伝わった結果、別々の形で西洋に伝わったという訳でした。

英語圏では茶葉の輸入に関してオランダからの輸入が中心となった為、最終的には厦門方言の音にならった"tea"が定着したのだそうです。

一方で「チャ」系の音を取り入れた国ももちろんあり、引用中のポルトガル語"cha" [シャ]のほかにロシア語"chai" [チャイ]、ギリシャ語"tsai" [ツァイ]、トルコ語"çay" [チャイ]等があります。

お茶をどう表現しているか、いろいろ言語で調べてみるのも面白いかもしれませんね。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は、お茶に関する外国語の表現について「紅茶」の例とつづり・発音の違いを調べてみました。

今ではモノや言葉も簡単かつタイムリーに広がっていくので、こうした言葉の転用や発音の違いも無くなっていくのかかもしれません。

今後も興味深い発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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