ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
国際化が進み続ける現代において、新たな外来語もまた流入し続けています。
ある話題に対し多くの注目を集めることを「バズる」と最近では言いますが、これは英語の"buzz"「ブンブン言う、(うわさ等が)とびかう」が日本語に入り、更に「~(す)る」という語尾が付いて動詞化した例です。
他にも「テイクアウトする(英語"take out"から)」「サボる(仏語"sabotage"から)」等など、外来語に「~(す)る」を付けて日本語の動詞のように活用する例は多くあります。
ところで、こうした例は日本語だけに限らないようです。
今回はドイツ語における、外来語として取り入れた単語の活用例を紹介します。
【前提1】ドイツ語の動詞の活用とは?
最初にドイツ語における動詞の活用方法について確認しておきましょう。
まず基本となるのは、動詞の三基本形です。
例:machen [マヘン]「する、作る」の三基本形
不定形machen、過去基本形machte、過去分詞形gemacht
英語の授業で覚えたmake – made
– madeのようなイメージです。
ドイツ語で現在時制や過去時制を表現するには、主語に応じて不定形や過去基本形の語尾を変化(活用)させます。
例:machenの現在時制の活用
私ich mache、君du machst、彼・彼女er/sie
macht・・・(以下略)。
不定形から語尾"-en"を取り去り、主語に応じて新たな語尾を付けるというイメージです。
一方、過去分詞形は助動詞と共に用いられ過去や完了「~した」、受動「~される」を表現します。
英語で現在完了形の表現はhave + 過去分詞(例 I have made...)という公式を覚えました。
ドイツ語も同様のイメージですが、面白い(?)ことにドイツ語の過去分詞は多くが語頭にge- [ゲ]がくっつきます(例gemacht)。
【前提2】ドイツ語の分離動詞とその活用とは?
続いてドイツ語の動詞には「分離動詞」と称されるカテゴリーがあります。
例えば"aufmachen" [アウフマヘン]という動詞があります。
「開ける、開く」という意味ですが、先ほど見た動詞"machen"の頭に"auf-"がくっついています。
この"auf"はもともと前置詞「上に、上へ」であり、意味的には英語"on"にほぼ等しいものの語源的には英語"up"と同じという単語です。
"aufmachen"は、auf + machenが組み合わさった語ですが、分離動詞という名前の通り"auf-"部分は状況に応じてくっついたり離れたりします。
では"aufmachen"の三基本形を見てみましょう。
不定形aufmachen、過去基本形machte…auf、過去分詞形aufgemacht
続いて現在時制の活用も見てみることにします。
私ich
mache...auf、君du machst...auf、彼・彼女er/sie macht...auf・・・(以下略)。
分離動詞の場合、不定形ではくっついていた"auf-"が現在時制の活用や過去基本形になると後ろに追いやられてしまいます。
更に過去分詞になると"auf-"の直後にまるで割り込むように"-ge-"が入ってくるのです。
まさに分離動詞と呼ばれる所以です。
外来語"upgraden"の活用とは?
お待たせしました。以上2つの前提を基にして、いよいよタイトルで取り上げた"upgraden"という動詞についてです。
言うまでも無く英語"upgrade"から取り入れらた外来語ですが、日本語でも「アップグレードする」という表現はよく使われています。
本来ドイツ語では、文字は原則ローマ字読みができます。"u"は「ウ」、"a"は「ア」が基本です。
ですが"upgraden"は英語由来のため、英語風に[アプグレーデン]と発音されます。
さて、ドイツ語では"upgraden"のように語尾が"-en"になっています。これは前提1の"machen"で見た通り、不定形の語尾"-en"を踏襲しているのでしょう。
ではドイツ語では、現在時制に於いてどのように"upgraden"を活用するのでしょうか。
私ich upgrade、君du upgradest、彼・彼女er/sie
upgradet・・・(以下略)。
"up-"がまるでドイツ語の"auf-"のように分離するかと思えば、そんな事はありませんでした。
過去基本形も"upgradete"であり、やはり"up-"は分離しません。
ところが、何と過去分詞形は次のようになります。
upgegradet
あれだけ離れなかった"up-"が、過去分詞形の"-ge-"には抗えず(?)割り込みを許してしまいました。
以上から、"upgraden"の三基本形は以下の通りとなります。
不定形upgraden、過去基本形upgradete、過去分詞形upgegradet
ドイツ語本来の活用形を鑑みるに、やはり"up-"と"auf-"の語源的な類似性から過去分詞形を"ge-upgradet"とするのは受け入れがたかったのかもしれませんね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はドイツ語において外来語がどのように扱われているか、"upgraden"という動詞を例に見てみました。
外来語の流入は日本語だけでなく、いろいろな言語において多かれ少なかれ影響があるものだと思います。
それぞれの言語で、どのように外来語を取り扱っているかを調べてみるのも面白いかもしれませんね。