ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
私が小学生の頃に発売されたポケットモンスターは、現在でも多くの方にプレイされているゲームであることは言うまでもありません。
1996年発売のシリーズ一作目「ポケットモンスター赤・緑」の時は151種類だったポケモンは、今では900種類を超える数になっているのだそうです。すごい数ですね。
昔は「ポケモン言えるかな」の歌を必死に覚えたものですが、これだけの数になるとさすがに歌にするのも一苦労しそうです。
ところでポケモンの中には、外国語の一般名詞が由来となっている例が多々あります。
全ての名前を挙げることはできませんが、今回はその一部を取り上げて紹介したいと思います。
1.リザード(英語)
まずはシリーズ一作目「赤・緑」のポケモンから、図鑑No.0005のリザードという名前。
リザードはヒトカゲから進化する、しっぽの先端に火がついているポケモンで更にもう一段階リザードンに進化します。
その名前は「とかげ」を意味する英語"lizard"から。
"lizard"の語源を遡ると、ラテン語"lacertus"「とかげ」につながるのですが詳細な起源は分かっていないそうです。
一説では、ラテン語に"lacertum"というよく似た語形で「上腕」を意味する単語があり、両者の間には関係があるのではないかと考えられているのだとか。
(参照:Online
etymology dictionary)
「上腕」の見た目(筋肉の盛り上がり?)が「とかげ」みたいだと、昔は考えられたのかもしれませんね。
2.ゲンガー(ドイツ語)
続いても「赤・緑」から、図鑑No.0094のゲンガーという名前。
このポケモンは「ゴースト」が進化した姿ですが、「ゴースト」という名前は英語"ghost"「幽霊」そのままですね。
ゲンガーは、ドイツ語"Gänger"から。
ただし、この"Gänger"自体には単に「行く人」くらいの意味しかありません。
そもそもが動詞"gehen"「行く」の名詞形"Gang"に語尾"-er"「~する人」がついた単語です。
より正確な由来はドイツ語"Doppelgänger"の後半部分といった方がいいでしょう。
"Doppelgänger"とは「ドッペルゲンガー、分身」という意味で、前半"Doppel-"「二重の(英語"double")」と"Gänger"「行く人」の複合語です。
ただ単に「分身」というよりは霊的な存在であり、自分のドッペルゲンガーを二度見た人は死んでしまうという迷信もあります。
3.ポリゴン(ギリシャ語)
ギリシャ語は、ギリシャ共和国やキプロス共和国の公用語であるだけではなく学術用語のルーツにもなっている、歴史ある言語の1つです。
そんなギリシャ語に由来する名を持つポケモンが、図鑑No.0137の「ポリゴン」です。
この名前はギリシャ語"πολύγωνον"(ラテン文字で"polygonon")に由来し、前半部"poly-"が「多くの」という意味を、後半部"-gonon"が「角」を意味する語の複合形です。
つまり"polygonon"で「多くの角」であり、「多角形」という意味になります。
ちなみに米国防総省の建物は"Pentagon"「ペンタゴン」と呼ばれますが、これはギリシャ語の"penta-"「(数字の)5」と"-gonon"「角」の複合形ですなわち「五角形」のこと。
建物の形に由来する命名だったというわけですね。
4.ジラーチ(ロシア語)
ポケモンは海外でも人気が高く、「スカーレット・バイオレット」では日本語の他に英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、韓国語、中国語の計9言語で発売されているそうです。
その言語の中にこそ入ってはいませんが、ポケモンにはロシア語の動詞に由来する名を持つものがいます。
それが「ジラーチ」で、ロシア語の動詞"желaть"(ラテン文字でželát’)に由来しています。
意味は「~を願う、望む」の不定形です。
ちなみに、ロシア語でこの動詞は「~を願う」の「~を」に当たる部分(目的語)の格に要注意です。
通常、日本語の助詞「を」は、ロシア語では対格形が相当します。
ところが"желaть"(želát’)の目的語は生格で示す決まりがあります。
生格は、「父の車」という例における日本語の助詞「~の」に近い用法です。
ヨーロッパには、日本語の助詞に相当する機能として格を用いる言語がいくつかありますが、常に両者がぴったり合うわけではない点には注意したいところです。
5.フェローチェ(イタリア語)
ポケモンの中には伝説のポケモンとか幻のポケモンとか、いわゆるレアな固体も存在します。
最近のシリーズにはウルトラビーストなる種類もいるようで、この固体は通常のモンスターボールでは捕まえられずウルトラボールという特別なボールが必要なのだとか。
そんなウルトラビースト一種、「フェローチェ」はイタリア語"feroce"「激しい、どう猛な」という形容詞に由来するそうです。
"feroce"は遡るとラテン語"ferox"「野生の、どう猛な」、印欧祖語の語根*ghwer-「野生の動物」にルーツがあるそうです。
同語源に英語"fierce"「激しい、どう猛な」があります。
ところで英語の"fierce"は13世紀中ごろには「勇敢な、大胆な」という、どちらかと言えば良い意味の単語だったそうです。
それが徐々に「(人や動物が)どう猛な、残忍な」という意味にシフトし、16世紀には「勇敢な」という意味は完全に無くなり現代の意味に至るのですが、結果として語源の用法に戻ったと言えますね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はポケモンの名前について調べてみました。
今では日本語以外でも発売されているポケモンを使って、外国語に触れてみるというのもいいかもしれませんね。