【雑学】時代と共に地位の上がった英単語とは?

2024/04/04

英語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

時代とともに語形や意味が変化した単語の例について、これまで当ブログではいろいろと紹介してきました。

今回は、時代とともに意味する仕事の地位が上がっていった単語をご紹介します。


「首相」を意味する英語

外務省のHPにある各国の元首名等一覧表では、それぞれの国の元首(国王や大統領)・首相・外相という3つのポストにおける代表者を日本語/英語表記で確認できます。

このうち「首相(総理)」に相当する英語は3種類存在します。

 Prime Minister 日本・韓国・英国・フランス等多数

 Premier 中国・ニウエの2か国

 Chancellor オーストリア・ドイツの2か国

上の2単語は、"prime"「第一の、主要な」に関連する単語が由来と予想できますが、3つ目の"Chancellor"はあまり聞き馴染みがありません。

今回はこの単語について調べてみましょう。


"Chancellor"の語源とは?

そもそもオーストリアおよびドイツにおける「首相」は、現地ドイツ語で"Bundeskanzler" [ブンデスカンツラー]と言われます。

"Bund(es)"が「連邦(の)」、"Kanzler"が「首相」という意味ですが、後半部"Kanzler"が英語"Chancellor"と同源から派生した単語です。

Online etymology dictionaryによると"Chancellor"の語源は以下の通りとされます。

early 12c., chaunceler, "chief administrative officer of a ruler," from Old French chancelier (12c.), from Late Latin cancellarius "keeper of the barrier, secretary, usher of a law court," so called because he worked behind a lattice (Latin cancellus) at a basilica or law court.

対訳:12世紀初めchaunceler「統治者の最高行政責任者」、古フランス語chancelier12世紀)、後期ラテン語cancellarius「門の番人、書記、法定の案内人」から、大聖堂や法廷の格子戸(ラテン語cancellus)の側で働いていた人が原義。

遡ってみると、ラテン語の時代には「番人、書記」といった仕事を指していたことが伺えます。

In the Roman Empire, a sort of court usher who stood at the latticed railing enclosing the judgment seat to keep the crowd out and admit those entitled to enter. The post gradually gained importance in the Western kingdoms as an intermediary between the petitioners and the judges, as a notary or scribe.

対訳:ローマ帝国に於いては法廷の案内係のような存在で、裁判官の席を囲む格子の側に立って群衆を締め出す一方で入場資格のある人を入場させていました。この地位は公証人または書記として、請願者と裁判官の仲介者として、西洋の王国で徐々に重要性を増していきました。

ラテン語が話されたローマ帝国の時代は格子戸の側に立って出入り管理を担っていたのが、徐々にその重要性が増していったのです。

そして最終的に英国では執行の最高位を指す単語に上り詰めます。

In England eventually the chancellor prepared all important crown documents and became keeper of the great seal and highest judicial officer of the crown.

対訳:イングランドでは最終的に全ての重要な国王文書を作成し、統治における最高位の司法官および国璽の管理者となりました。

(以上出典:Online etymology dictionary

現代の「首相」を指す単語が、遡ると「格子戸」を意味するラテン語に由来していたというのは面白いですね。


「首相」と「キャンセル」の関係とは?

ちなみに、「首相」のほかに格子戸から派生した単語がもう1つあります。

それが「キャンセル」(英:cancel)です。

late 14c., "cross out with lines, draw lines across (something written) so as to deface," from Anglo-French and Old French canceler, from Latin cancellare "to make like a lattice," which in Late Latin took on especially a sense "cross out something written" by marking it with crossed lines, from cancelli, plural of *cancellus (n.) "lattice, grating,"

対訳:14世紀後半「線で消す、(書かれたものを)見えなくするように線を引く」、アングロ・フランス語または古フランス語canceler、ラテン語cancellare「格子状にする」から、後期ラテン語では特に「書かれたものを十字線で取り消す」という意味でした。名詞*cancellus「格子、格子窓」の複数形cancelliから

(出典:Online etymology dictionary

格子のように取り消し線を引くことから「キャンセル」という単語が生まれたのですね。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は"Chancellor"「首相」という単語について調べてみました。

遡ってみるとラテン語の"cancellus"「格子、格子窓」がルーツであり、時代と共にその地位が上がっていったことが伺えました。

また同じ語源から"cancel"「キャンセル」も派生しているというのも、言葉の発展の面白いところではないでしょうか。

今後もこのような発見があれば当ブログで紹介していきたいと思います。

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Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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