【雑学】原義から大きく意味が変わった英単語

2022/11/16

英語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

最近知ったのですが「破天荒」という語は本来の意味から離れて多くが誤用されているそうです。

イメージとしては「大胆、型破り」という意味を浮かべますが、本来は「誰も成しえなかったことをすること」という意味で中国の故事に由来します。

では、時代とともに用法や意味が変化した単語というのは外国語にもあるのでしょうか?

答えは、もちろんあります。

今回は英語に関して、原義から大きく意味の変わった単語を紹介します。


"Business"「注意深い(状態)」→「事業」

1つ目の英単語は"business"です。

現代では「事業、商売」などの意味で用いられていますね。

本来はどんな意味だったのでしょうか。

"business"は形容詞"busy"に接尾辞"-ness"がついた名詞形ですが、"busy"は古英語の時代"bisig"と表記され「注意深い、不安な」といった意味を持っていたそうです。

名詞をつくる接尾辞"-ness"をつけて、「注意深い状態」といった意味になります。

from bisig "careful, anxious, busy, occupied, diligent" (see busy (adj.)) + -ness.

対訳:bisig「注意深い、不安な、忙しい、勤勉な」(形容詞busy参照)+-nessから

(出典:Online etymology dictionary

では、いつから「事業、商売」という意味が生まれたのでしょうか?

Sense of "a person's work, occupation, that which one does for a livelihood" is first recorded late 14c. (in late Old English bisig (adj.) appears as a noun with the sense "occupation, state of employment").

(出典:Online etymology dictionary

「事業、商売」という意味の初出は意外に古く14世紀後半には既にみられたようです。

また古英語の後半(1000年頃)には「職業、雇用された状態」という名詞的用法も見られることが分かります。

「事業」を継続するには注意深さも求められることから意味が変化したのかもしれませんね。

ちなみに"business"は「ビジネス」とカタカナ英語にもなっていますが、よりネイティブに近い発音は「ビズニス」のようなイメージです(「ビ」にアクセント)。


"Walk"「布目を密にする」→「歩く」

2つ目の例"walk"は、「歩く、散歩」という意味で誰もが知る英単語だと思います。

ただ本来の意味は「歩く」とはかけ離れていました。

from Proto-Germanic *welk- (source also of Old Norse valka "to drag about," Danish valke "to full" (cloth), Middle Dutch walken "to knead, press, full" (cloth), Old High German walchan "to knead," German walken "to full"),

(出典:Online etymology dictionary

引用によると、"walk"の語源はゲルマン祖語"*welk"にあります。

また同じルーツを持つ単語には以下の語があります(一部抜粋)。

 古ノルド語  valka「うろつく」

 デンマーク語 valke「布目を密にする」

 中期オランダ語walken「こねる、押す」

 ドイツ語   walken「布目を密にする」

この内、古ノルド語に現代英語の意味「歩く」と似たニュアンスを感じますが、他の語では全く異なりますね。

英語の「歩く」という意味はどうして生まれたのでしょうか?

The shift in sense is perhaps from a colloquial use of the Old English word or via the sense of "to full cloth" (by treading on it),

対訳:古英語期の口語的用法または「(踏みつけて)布目を密にする」という用法から、意味が変化したものと思われる

(出典:Online etymology dictionary

先程から「布目を密にする」と表現していますが、これは繊維加工の方法で熱や圧力を加えることで生地のゆがみがとれたり手触りがよくなるそうです。

今では薬品につけたり加熱やプレスしたりという方法もあるそうですが、昔は人力で踏み固めたということでしょうか。

その踏み固める動作が発展して英語では「歩く」を意味するようになったと考えられます。


"Coast"「肋骨」→「海岸」

最後に紹介するのは"coast"です。

「海岸」という意味で広く知られる単語だと思いますが、本来は「肋骨」を意味していました。

一体どういうことでしょうか?

from Latin costa "a rib,"(中略)developed a secondary sense in Medieval Latin of "the shore," via notion of the "side" of the land, as well as "side of a hill,"

対訳:ラテン語costa「肋骨」から、(中略)陸地の「脇」または「丘の斜面」という意味を経て中世ラテン語の時代に「海岸」という意味が発展した

(出典:Online etymology dictionary

"coast"のルーツであるラテン語"costa"の原義は「肋骨」という意味でした。

「肋骨」は背中から胸部にかけて体の側面を囲むように存在していますね。

側面、脇にある骨のイメージが陸地にも適用され、更には陸地の脇=海岸という意味になったという何ともユニークな変化です。


「肋骨」と「海岸」、意味の取違えに要注意!

ちなみに「肋骨」から「海岸」へという意味の変化は、英語に限らずラテン語をルーツとする他の言語でも見られます。

 フランス語 côte [コート]「肋骨、海岸」

 イタリア語 costa [コスタ]「肋骨、海岸」

 スペイン語 costa [コスタ]「海岸」

注意したいのは、フランス語とイタリア語の場合です。

英語では"coast"に「肋骨」の意味は残っていませんが、フランス語とイタリア語では「肋骨」という意味も健在です。

意味がまるで違うので誤ることは稀だと思いますが、同音異義語だということは押さえておきたいですね。

ちなみにスペイン語の"costa"は「海岸」という意味のみになります。

「肋骨」と言いたい場合は、"costilla" [コスティーリャ]を用いましょう。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は、原義から大きく意味が変わった英単語を紹介しました。

 business「注意深い状態」→「事業」

 walk「布目を密にする」→「歩く」

 coast「肋骨」→「海岸」

どれも現代の意味からはかけ離れてしまっていますね。

我々が日常用いている単語にも将来は意味が変わってしまうことがあるかもしれません。

時代に合わせて言葉も進化していると言えます。やはり語学は継続ですね。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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