名詞ではない!?英語"duck"「アヒル」の動詞としての用法とは?

2022/11/10

英語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

少し前ではありますが英文ニュースサイトで、以下の表現を見つけました。

"Companies can’t duck the fight …(以下略)"

登場する単語はどれも簡単に見えますが、日本語にしようと思うと"duck"という単語の扱いでつまずくのではないでしょうか?

今回は、この"duck"という単語について調べてみたいと思います。


例文における"duck"の用法とは?

まずは例文の構造を確認したいと思います。

"Companies can’t duck the fight …(以下略)"

後半部は省略していますが、文としては上の内容で一応は成り立ちます。

まず先頭の"Companies"は主語(S)、"the fight"が目的語(O)です。

結果として、真ん中の"can’t duck"が動詞(V)ということになります。

"can’t"は助動詞(ここでは否定形)であり、続く動詞の原形"duck"に「()可能」という意味を付与しています。

しかし"duck"と言えば、名詞形「アヒル」という意味で多くの方が記憶されている単語だと思います。

動詞としての"duck"があるとは驚きですね。

例文では"duck"の意味が分からなければ「企業は、…の戦いを○○できない」と日本語訳が正しく把握できません。


動詞"duck"の意味とは?

では、"duck"の動詞としての意味を調べてみましょう。

プログレッシブ英和辞典(第4版)によると、その意味は以下の通りです。

[]()

1.全身(頭)をひょいと水にもぐらせる

2.ひょいとかがむ(頭を下げる);身をかわす;逃げる;(打撃・人を)避ける;((略式))(責任などを)避ける

 ()

1.…をひょいと水に突き入れる、(池・流れなどに)ちょっと沈める

2.〈頭・体などを〉ひょいと下げる;〈打撃・仕事などを〉避ける、かわす

(参照:kotobank.jp/ejword/duck

名詞"duck"「アヒル」という単語が、動詞においてはこのような意味がありました。

今回の例文では目的語"the fight"が続くので他動詞であり、意味としては「避ける、かわす」がしっくりくると思います。

ということで、"Companies can’t duck the fight…"の日本語訳は「企業は…の戦いを避けることができない」とすれば良いでしょう。


動詞"duck"のルーツとは?

では"duck"について、名詞「アヒル」と動詞「避ける」等の意味はどう関係しているのでしょうか?

ルーツを辿って調べてみたいと思います。

まずは名詞"duck"について、Online etymology dictionaryによると以下の通り解説されています。

Old English duce (found only in genitive ducan) "a duck," literally "a ducker," presumed to be from Old English *ducan "to duck, dive". Replaced Old English ened as the name for the bird, this being from PIE *aneti-, the root of the "duck" noun in most Indo-European languages.

対訳:古英語duce(属格のみducan)「アヒル」、原義は「水にもぐるもの」、古英語*ducan「水にもぐる、飛び込む」に由来すると推測される。鳥の意味では古英語enedから置き換わったが、これは印欧祖語*aneti-に由来し多くの印欧語では「アヒル」を意味する名詞になっている。

(出典:Online etymology dictionary

それによると以下のことが明らかになります。

・名詞「アヒル」の意は、動詞「水にもぐる」から派生した。

・本来「アヒル」を意味したenedduckに取って代わられた。

名詞としてのイメージが強かった"duck"ですが、そのルーツは動詞から始まっていたということですね。

動詞の意味は元々「水に(ひょいと)もぐる、飛び込む」でしたが、その動作が発展して「ひょいとかがむ」だったり「避ける、身をかわす」という意味も持つようになったと考えられます。

また、本来「アヒル」を意味した古英語"ened"は"duck"に置き換わったというのも興味深い発見でした。

よっぽどアヒルの「水にもぐる」動作が印象的だったのかもしれませんね。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は気になった英語として"duck"の動詞としての用法を調べてみました。

「アヒル」というイメージが強い"duck"ですが、ルーツを辿ると本来は動詞から派生した形だったということですね。

ルーツが分かれば、動詞の用法「水にもぐる」や「避ける、かわす」も理解がしやすくなりますね。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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