ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
英語学習者を苦しめる点の1つに、英語のつづりと発音の乖離が挙げられると思います。
例えば"knight"「騎士」という単語は、母音"i"を「アイ」と読むのはともかくとしても、子音"k"や"gh"が発音されないという、何ともトリッキーな単語です。
それに加えて、品詞が変わるとつづりが微妙に異なってくる単語が個人的には苦手でした。
例えば、名詞"money"「お金」は形容詞になると"monetary" [マネタリー]となり、子音"t"が突如現れます。
この"t"はどこから現れたのか、また何故それが"t"なのか。今回はそこを調べてみたいと思います。
"money"の形容詞形は?
名詞"money"には、"monetary"という形容詞形が存在します。「金銭的な、お金に関する」という意味があります。
接尾語"-ary"は元の形から新たに名詞や形容詞を生み出す働きがあります。
例えば以下のような例です。
diet 〈名〉「食事」に対するdietary 〈形〉「食事の」
secret 〈形〉「秘密の」に対するsecretary 〈名〉「秘書」
このようなパターンでは、元の単語に接尾語"-ary"をくっつけるだけで済みます。
ところが、"money"に対する形容詞形は"-ary"をくっつけて"*moneyary"とはしません。
正しくは"monetary"ですが、なぜ子音"t"が現れたのでしょうか。
これは、"money"の語源を尋ねてみると明らかになります。
"money"の語源は?
それでは早速、この単語の語源をOnline etymology dictionaryで調べてみましょう。
from Old French monoie "money, coin, currency; change" (Modern French monnaie), from Latin moneta "place for coining money, mint; coined money, money, coinage,"
対訳:古フランス語monoie「お金、貨幣、通貨、又はお釣り」(現代フランス語monnaie)から、ラテン語moneta「お金を作るところ、造幣局、又は鋳造されたお金、鋳造」から。
出典:Online
etymology dictionary
フランス語を通じてもたらされたようですが、その語源はラテン語"moneta"にあることが分かります。
そして、元になったラテン語"moneta"には子音"t"が含まれていることに気づくと思います。
英語の形容詞形"monetary"は、この"moneta"が語源であるために子音"t"が使われているのです。
そもそも英語"monetary"は、相当する"monetarius"という単語がラテン語に存在し、フランス語"monétaire"を経て現代英語に至っているという背景があります。
このことから、名詞から形容詞に変化する際に子音"t"が現れたのではなく、名詞形で子音"t"が消失した(フランス語において)ということが言えます。
以上のように名詞と形容詞で単語の形が変わる例において、その語源を尋ねてみると元の形が明らかになることがあります。
"money"は本来「造幣局」を意味していた
ところで"money"の語源であるラテン語"moneta"は、もともと「お金を作るところ、造幣局」という意味であり、現代英語"money"はそこから転じて「お金」をそのものを指すようになりました。
この"moneta"は、ラテン語が公用語であったローマ時代の神話に由来しています。
from Moneta, a title or surname of the Roman goddess Juno, near whose temple on the Capitoline Hill money was coined (and in which perhaps the precious metal was stored);
対訳:Monetaはローマの女神・ジュノーの称号または姓であり、カピトリーネの丘にある彼女の名を冠した寺院の近くでお金が作られたことから(そして恐らくそこに貴金属も保管された)
出典:Online
etymology dictionary
本来は女神様の称号であった"Moneta"が、"money"「お金」の語源になっているというのですね。「お金」というものが何とも神聖なものに見えてきますね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、英語の"money"(名詞)とそれに対する"monetary"(形容詞)の子音"t"に関して調べてみました。
語源を遡ると、子音tがついた形が本来の姿であったということですね。
今回のように派生語を覚える際、元の形と異なる場合は語源を辿ってみるとその形をより納得して覚えられるかもしれません。
今後もこうした観点から得られた発見があれば、紹介していきたいと思います。