赤ワインを外国語で何と言う? 比べてみみました

2024/05/08

単語

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ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

日本では太陽の色と言えば「赤」、月の色は「黄色」のイメージがありますが、ところかわれば太陽は「黄色」、月は「銀色」でイメージするところもあるようです。

ある対象がどう見えるか、またどう表現するかは言語によって異なることが多いです。そこで今回は、ワインの外国語表現について調べてみました。


ワインの色比べ

ぶどうの品種等によって様々な色があるワインですが、主要な白ワインと赤ワインは外国でどう表現されるのでしょうか。

今回は、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、カタルーニャ語の5つで比べてみましょう。

1.白ワイン

白ワインは、各言語で次のように表現されます。

 英語      white wine ←white「白」

 ドイツ語    Weißwein ←Weiß「白」

 フランス語   vin blanc ←blanc「白」

 スペイン語   vino blanco ←blanco「白」

 カタルーニャ語 vi blanc ←blanc「白」

上の2つ(英語、ドイツ語)は同じゲルマン語派に属する言語であり、下の3つ(フランス語、スペイン語、カタルーニャ語)はロマンス諸語に属す言語です。

同グループの言語は互いに似た表現であることが分かります。

また、いずれの言語も「白」に相当する単語を用いていることも分かります。

2.赤ワイン

ぶどうを皮ごと発酵させることから、皮由来の色が反映される赤ワインの場合は、各言語で次のように表現されます。

 英語      red wine ←red「赤」

 ドイツ語    Rotwein ←Rot「赤」

 フランス語   vin rouge ←rouge「赤」

 スペイン語   vino tinto ←?rojo「赤」

 カタルーニャ語 vi negre ←?vermell「赤」

どの言語でも「赤」に相当する単語が使われていると思いきや、スペイン語やカタルーニャ語は少し毛色が異なるようです。

本来スペイン語では"rojo"が、カタルーニャ語では"vermell"が「赤」を指す一般的な単語ですが、赤ワインの場合は前者が"tinto"、後者は"negre"が用いられています。


スペイン語"tinto"とは?

"rojo"「赤」の代わりに用いられている"tinto"は、辞書によると「着色した、染まった」や「(ワインが)赤の、暗赤色の」という意味があることが分かります(参照:小学館 西和辞典 2版)。

その語源はラテン語の動詞"tingere"「浸す、着色する」の完了分詞形"tinctus"「染められた、着色された」です(参照:同上)。

つまり、"vino tinto"の原義は「着色されたワイン」と言えます。

なぜ"rojo"ではなく、"tinto"が用いられるのか?その理由は昔、スペインにおける赤ワインの製造法に由来するようです。

Los escritos cuentan que podría tener su origen en la moda del vino clarete, tan en boga en el siglo XVII, el “Siglo de Oro”. El procedimiento consistía en colorear el vino blanco con un poco de tinto, ya que este último, era más caro de producir y adulterarlo era una práctica habitual.

対訳:文献によれば、その起源は17世紀「黄金時代」に流行したクラレットワイン(注:軽口の赤ワイン)にある可能性があります。その製造手順には、白ワインを少量の赤ワインで着色することがありました。後者(注:赤ワイン)の方が生産コストが高く、混ぜ物をすることが一般的だったためです。

(出典:tritium.es/enologia-para-todos-los-sulfitos-2/

現在の赤ワインは、もちろんこのような製法では無いものの、スペイン語においては名前にのみ"tinto"「着色された」という語が残されているという訳です。


カタルーニャ語の"negre"とは?

"vermell"「赤」の代わりに用いられている"negre"は、「黒い」という意味です(参照:en.wiktionary)。

つまり、"vi negre"の原義は「黒いワイン」と言えます。

「赤」ではなく「黒」と表現しているのは、恐らく原材料となるぶどうの名前によるものと思われます。

El vi negre, anomenat vi roig sobretot a la Catalunya del Nord i antigament vi vermell, és aquell que prové de mostos de raïm negre (Vitis vinifera),

vi negre=黒ワイン)は、特にカタルーニャ北部ではvi roig=赤ワイン)と呼ばれ古くはvi vermell=赤ワイン)とも呼ばれていましたが、raïm negre=黒ぶどう)の果汁(ウィティス・ウィニフェラ)から得られます。

(出典:ca.wikipedia.org/wiki/Vi_negre

地域によっては、「赤」が使われているようです。また"vermell"と類義語の"roig"「赤」という語も出てきました。

この両者は、使用される地域で「赤」を指す語としてどちらがメインかが異なるようです(カタルーニャ(バルセロナ)では"vermell"、バレンシアでは"roig"・・・)。

スペインに於いて、いわゆるスペイン語とされるものは厳密にはカスティーリャ語であり、地域によっては異なる言語が用いられているところもあります。

「赤ワイン」の表現から様々な言語に触れることができますね。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は、ワインの表現を複数の言語で比べてみました。

ある対象が別の言語ではどのように表現されているか、調べてみると興味深い発見があるものですね。

そう言えば、紅茶も英語では"black tea"「黒いお茶」と表現します。今後もこうした発見があれば、当ブログにて紹介していきたいと思います。

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Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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