ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
今年はコロナによる移動の制限も緩和され、海外旅行需要が復調傾向であるようです。
JTB総合研究所が掲載している「日本人海外旅行動向」によれば、大型連休のあった今年5月の出国者数は約67万人(前年比+404.2%)と大幅増になっています。
(参照:www.tourism.jp/tourism-database/stats/outbound/)
ところで昨今は電子マネーでの決済が主流とはいえ、海外旅行においては現地通貨への両替はまだまだ不可欠ではないでしょうか。
今回は、通貨の記号通貨について調べてみました。
1.¥「円」
まずは日本の通貨「円」の記号、¥について。
英語では"yen"と表記し、その頭文字"y"が記号の由来であることは想像に難くないでしょう。
しかしながら、「円」はローマ字表記で"en"の方がしっくりきます。なぜ"yen"なのでしょうか。
恐らく語源をみるに中国語の発音が関係しているようです。
Japanese monetary unit, 1875, from Japanese yen, from Chinese yuan "round, round object, circle, dollar."
対訳:日本の通貨単位、1875年、日本語yen、中国語yuan「円、円いもの、円形、ドル」から
(出典:Online
Etymology Dictionary)
中国の通貨単位は「元」ですが、中国語では"yuan" [ユエン]のように発音されます。
では、¥に挿入された2本の横棒は何でしょうか? 英語版Wiktionaryでは以下のように解説されていました。
The two lines represent the other two letters in the word 'yen'.
対訳:2本の線は単語'yen'の残り2文字(つまり'en')を表しています。
(出典:en.wiktionary.org/wiki/¥)
ちなみに中国の「元」も通貨記号は同じく¥で表現されます。
2.$「ドル」
続いて米国の通貨「ドル」の記号、$について。
英語では"dollar" [ダラ]とつづりますが記号は"S"に縦棒が1本ついた形をしています。つづりには無い"S"はどこから派生したのでしょうか。
そもそも"dollar"の語源はなんでしょうか?
Online
Etymology Dictionaryによれば以下の通り解説されています。
from Low German daler, from German taler (1530s, later thaler), abbreviation of Joachimstaler, literally "(gulden) of Joachimstal,"
対訳:低地ドイツ語daler、ドイツ語taler(1530年、後にthaler)から、Joachimstalerの省略形、原義は「Joachimstalの(グルデン※)」のこと
※訳者注:昔の金貨の名前。
(出典:Online
Etymology Dictionary)
さらに引用元によれば"Joachimstal"「ヨアヒムスタール」とは、ボヘミア(現在のチェコ)北西の町だそうで、その近郊で採掘された銀から鋳造された硬貨にちなみ"Joachimstaler"と呼ばれ、後に省略された"taler"が後の"dollar"になったというわけです。
ちなみに"Tal"とはドイツ語で「谷」、つまり"Joachimstal"で「ヨアヒムの谷」という意味の地名です。
"Dollar"の由来は日本語で言えば「谷」にあったというわけですね。
では、記号$の由来は何でしょうか? どうやら諸説あるそうです。
The dollar sign ($) is said to derive from the image of the Pillars of Hercules, stamped with a scroll, on the Spanish piece of eight.
対訳:記号$はスペインの古い銀貨に刻印された、渦巻型の装飾を持つヘラクレスの柱のイメージに由来すると言われている。
(出典:Online
Etymology Dictionary)
この説によれば、記号中の"S"は柱の装飾(渦巻)をモチーフにしているということになります。
$ appears to have evolved ca 1775 in the United States from a common abbreviation for pesos, a P/raised-S ligature PS
対訳:$は米国において1775年頃、ペソの一般的な略語であるPS(Pの上にSを書いた合字)から進化したものと思われる。
(出典:en.wiktionary.org/wiki/$)
いずれの説もペソが鍵を握るようですが、米国ではその昔「ドル」が採用される以前はメキシコ産の銀貨(ペソ)が流通していたそうです。
3.£「ポンド」
続いて英国の通貨「ポンド」の記号、£について。
つづりは"pound" 発音は [パウンド]ですが記号は"L"を元にしたようなデザインです。
まずは"pound"の由来を紐解いてみましょう。
From Middle English pound, from Old English pund (“a pound, weight”), from Proto-Germanic *pundą (“pound, weight”), an early borrowing from Latin pondō (“by weight”), ablative form of pondus (“weight”),
対訳:中英語pound、古英語pund「ポンド、重さ」、ゲルマン祖語*pundą「ポンド、重さ」から、ラテン語pondus「重さ」の奪格形pondō「重さで」からの初期借用語
(出典:en.wiktionary.org/wiki/pound)
ルーツは「重さ」にあったようです。
実際に"pound"は通貨単位のほかに重量の単位でもあります。
では、記号の由来は何でしょうか?
From the first letter of Latin lībra (“pound”). The symbol is derived from the mediaeval tradition of placing a stroke over a letter or letters of a word (in this case L) to indicate an abbreviation;
対訳:ラテン語lībra「ポンド」の頭文字から。この記号は、略語であることを示すために文字(この場合L)に一画足すという中世の伝統に由来しています。
(出典:en.wiktionary.org/wiki/£)
"libra"はラテン語で「天秤」という意味もありますが、ローマ時代の重量単位でした。
"pound"は略語でlb.という表記もありますが、これもやはり"libra"に由来します。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は通貨記号の由来について調べてみました。
現地通貨の取扱いにはレートの確認など気を配ることもありますが、その通貨の名前や記号にも関心を持つと面白い発見があるかもしれませんね。
今後もこうした発見があれば、当ブログで紹介していきたいと思います。