"April"「4月」の語源は「開く」と関係あるのか? 調べました!

2023/04/05

ラテン語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか。

4月は新年度、新学年など、「始まり」「開始」の時期ですね。

今回は4月を意味する英語"April"について考えてみたいと思います。


"April"の語源は、「開く」から?

4月」を英語では"April"と表現することは今さら言うまでもありませんね。

ところでその昔、イタリア語の独学を始めた私はある動詞に目が留まりました。

 aprire [アプリーレ]

意味は「~を開ける、開く」という他動詞の用法や「開く、始業する」など自動詞の用法もあります。

英語"open"に相当する動詞です。

それにしてもこの動詞、"April"とつづりや音が非常によく似ています。

ちなみにイタリア語で「4月」は"aprile" [アプリーレ]です。

最後の子音が"R"か"L"か、日本人には苦手な区別ですが両者とてもそっくりです。

4月は(日本では)始まりの時期だと先ほど書きましたが、例えば「開始」という単語に「開く」という文字が日本語でも含まれます。

また冬が過ぎて花や緑あふれる季節になりますが、「開花」という単語にも「開く」という文字が含まれます。

以上のことから、私はこれまで勝手に"April"は"aprire"「開く」と関係深い、または同語源の単語だと思っていました。


"April"の語源、実は分かっていない?

では本当のところはどうなのでしょうか。

改めて調べてみることにしました。

Online etymology dictionaryによると、早速以下の解説が見つかりました。

from Latin (mensis) Aprilis, second month of the ancient Roman calendar, from a stem of uncertain origin and meaning, with month-name suffix -ilis as in Quintilis, Sextilis (the old names of July and August).

対訳:ラテン語(mensis) Aprilisから、古代ローマの暦では2番目の月、起源と意味が不詳の語幹に月の名を表す接尾辞-ilisが付いた形(QuintilisSextilis(それぞれ7月と8月の古称)のように)。

(出典:Online etymology dictionary

引用によるとルーツはラテン語"Aprilis"であるようですが、語根"Apr-"は起源や意味も分からず謎に包まれているようです。

「開く」との関係性は薄くなってきましたが、引き続き語源を紐解くと以下2つの説があるようです。

1.「アフロディテの月」説

アフロディテと言えば、ギリシャ神話における愛と美の女神です。また「生殖と豊穣、すなわち春の女神でもあった」そうです(参照:wikipedia)。

Perhaps based on Apru, an Etruscan borrowing of Greek Aphrodite.

対訳:恐らくギリシャ語Aphrodite「アフロディテ」を借用したエトルリア語Apruに基づく。

(出典:Online etymology dictionary

エトルリア語とはイタリア半島の先住民族エトルリア人の話した言葉ですが、後にその語彙の中からローマ人がラテン語に取り入れたのでしょうか。

先述の通りアフロディテは春の女神とされていたことから、"Aprilis"は「春の女神の月」がルーツというのは確かにありそうです。

2.「2番目の月」説

先程は触れませんでしたが、最初の引用で「古代ローマの暦では2番目の月」という記述がありました。

もともと暦は10の月しか無く、現代の「3月」が最初の月だったそうです。であれば、「4月」は本来2番目の月であったという事になります。

Or perhaps *ap(e)rilis "the following, the next," from its place as the second month of the old Roman calendar, from Proto-Italic *ap(e)ro-, from PIE *apo- "away, off"

対訳:または恐らく古代ローマの暦では2番目の月であったことから、印欧祖語*apo-やイタリック祖語*ap(e)ro-「離れて」から派生した*ap(e)rilis「続く、次の」に由来するとされる。

(出典:Online etymology dictionary

この引用によれば、"Aprilis"の本来の意味は「次の月、2番目の月」であり日本語で「2月」と表現するものと同じだったと言えます。

月の名前とはこんな風に案外シンプルな命名が由来なものかもしれませんね。


動詞「開く」とはやはり無関係なのか?

しつこいようですが、やはり「開く」という単語との関連は無いのでしょうか。

Old folk etymology connected it with Latin aperire "to open."

対訳:古い民間語源ではラテン語aperire「開く」と関連づけられていました。

(出典:Online etymology dictionary

ですが、ラテン語"aperire"「開く」の語源を調べてみると気になる点があります。

from Proto-Indo-European *hepó (“off, from”) + *hwer- (“to cover, shut”) + *-ye-.

対訳:印欧祖語*hepó「離れて」+*hwer-「覆う、閉める」+*-ye-の複合形から。

(参照:en.wiktionary

引用中の印欧祖語*hepóですが、先ほど"April"の語源「2番目の月」説で登場した印欧祖語*apo-と厳密には語形こそ異なりますが同じルーツであることが伺えます。

つまり"April"と"aprire"の間には、もし「2番目の月」説が正当な語源であった場合、同じルーツを持つという点で関係があると言えるかもしれませんね。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は"April"の語源について考えてみました。

ラテン語の動詞"aperire"「開く」と語形が似ていましたが、両語において直接的な関係は無さそうです。

とは言え"April"の語源がはっきりしていないことから、もしかしたら同じ印欧祖語にルーツを持っている可能性も否定できないとも言えそうです。

改めて言葉の奥深さを感じる例だと思います。

今後も興味深い発見があれば当ブログにて紹介していきたいと思います。

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Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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