フランスにはセーヌ川が2つある? "Rive, Riviere, Fleuve"の違いとは?

2023/03/22

フランス語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

フランスには旅行者を魅了する観光スポットが多く存在していますが、中でも多くの方が必ず訪れるのがヴェルサイユ宮殿ではないでしょうか。

首都パリからも近く、電車を利用すればアクセスも簡単なため個人旅行でも難なく訪れることが可能です。

私は初めて訪れた時、広大な宮殿と庭園に圧倒され、有名な鏡の間を自身の目で見ることができたことによる感動もひとしおでした。


ヴェルサイユ宮殿の最寄り駅は?

個人でヴェルサイユ宮殿を訪れる場合は、パリ市内と近隣の自治体を結ぶRERという鉄道を利用するのが便利です。

RERにはABC線という3つの路線が存在し、その内のC線にヴェルサイユ宮殿の最寄り駅があります。

駅名は"Versaille – Château / Rive – Gauche"です。何とも長い駅名です。

スラッシュより前の部分は、「ヴェルサイユ – 城」という意味のフランス語です。

日本語ではヴェルサイユ「宮殿」と呼称されますが、現地では"Palais"「宮殿」では無く"Château"「城」と表現されているのですね。

スラッシュより後の部分は「河岸 – 左の」と訳せます。つまり「左岸」です。

以上をまとめると最寄り駅の名前は「ヴェルサイユの城 / 左岸」駅といえます。


駅名の「左岸」とはどこのこと?

ところでGoogle Mapsなどで調べてみると分かりますが、この駅の付近に川は流れていません。

では駅名の「左岸」とはどこのことを指しているのでしょうか?

答えは、セーヌ川です。

この駅につながる路線はパリ市内でセーヌ川の左側を通るルートが発端だったことに由来しています。

ちなみにセーヌ川の右側、つまり「右岸」をルートとする路線の先には"Gare de Versailles – Rive – Droite"という名前の駅があり、後半の"Rive – Droite"が「河岸 – 右の」つまり「右岸」を意味しています。

駅の位置関係ではなく、経由する路線がセーヌ川の左側か右側かに由来するというのは面白い命名ですね。


フランス語で「川」は何と表現する?

駅名で見てきた通り、フランス語で"rive" [リヴ]は「河岸」を意味します。

似ている英語"river"が「川」という意味なので紛らわしいですね。

更に紛らわしいことに、フランス語では"rivière" [リヴィエール]という単語がありこちらは「川」という意味を持ちます。

"rive"「河岸」と"rivière"「川」はどちらもラテン語の"rīpa"「河岸」がルーツですので似ているのは仕方ないのですが、取り違えないように注意しなければいけませんね。

では、先ほどから名前の挙がっているセーヌ川はフランス語で何と表現するでしょうか?


フランス語で「川」は2通りある?

フランス語で「川」は"rivière"だと紹介しました。

であれば、セーヌ川は"Rivière Seine"かというと残念ながら間違いです。

フランス語で"Le fleuve Seine"もしくは単に"La Seine"と表現します。

(この"Le"とか"La"は英語の"The"に相当する定冠詞です)

どこにも"rivière"は登場しません。代わりに"fleuve"という新たな単語が登場しましたが、これは何でしょうか?

実はフランス語には日本語の「川」に相当する単語が2通り存在するのです。

1つが"rivière"であり、もう1つがこの"fleuve" [フルーヴ]なのです。

この2つはフランス語において次のように明確に区別されます。

 rivière 他の川に注ぐ「川」(支流)。

 fleuve 海に注ぐ「川」。

セーヌ川は地図を見れば分かる通り、最終的にはイギリスとフランスを隔てるイギリス海峡に流れ込む川ですので"rivière"は当てはまらないという訳でした。


フランスにはセーヌ川が2つある?

興味深いことに調べてみるとフランス国内には2つの「セーヌ川」が存在します。

どういうことでしょうか?

日本語で考えても分からないので以下フランス語表記をご覧ください。

 ① La rivière Saine

 ② Le fleuve Seine

どちらも日本語だと「セーヌ川」と書くしかないのですが、①"Saine"と②"Seine"を比べるとつづりが微妙に異なります。

また川の種類も異なります。

①は"rivière"とあるので支流です。このセーヌ川は"Ain"「アン川」に流れ込みます。

ちなみに、この「アン川」もやはり支流であり"Rhône"「ローヌ川」に流れ込んで最終的には地中海にたどり着きます。

フランス語版Wikipediaで①"Saine"もしくは②"Seine"を検索してみると、この2つのセーヌ川を間違えないようにという注意書きが冒頭にあります。

ne doit pas être confondue avec le fleuve Seine / la rivière Saine

対訳:セーヌ川と混同しないように。

(参照:fr.wikipedia.org/wiki


最後に

いかがでしたでしょうか。今回はフランス語で「川」を意味する単語について考えてみました。

"Rivière"と"Fleuve"2通りの「川」は注意が必要ですね。

特にセーヌという名の川が2つあるフランスではあらぬ誤解を招きかねません("Seine"に対する"Saine"の知名度を考えればまず無いとは思いますが…)。

こうして調べてみると新たな発見があって、更に外国語学習への意欲が高まりますね。

今後も興味深いネタがあれば当ブログで紹介していきたいと思います。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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