フランス語"croissant"「クロワッサン」の反意語とは?

2022/08/22

フランス語

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ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

外国語学習において語彙を増やしていくことは言うまでも無く重要ですね。

単により多くの単語を覚えようというのであれば、ある単語の関連語や派生語、同意語や反意語などをどんどん紐づけて行く方法も一つでは無いでしょうか。

今回は、フランス語を例に掲題の「クロワッサン」の反意語について考えてみたいと思います。


反意語(英"antonym")とは?

まずは反意語について確認しておきましょう。

対義語や反対語などとも呼ばれますが、漢字の通りで「ある単語に対し、意味が反対の単語」もしくは「対照的な意味を持つ単語」を指します。

ちなみに、反意語という単語の反意語は「同義語」ですね。

反意語は英語で"antonym" [アントニム]と表現します。

"antonym"は、接頭辞"ant-"「反対の」と"onym"「単語、名前」による複合語です。

つまり、英語"antonym"も「反対の単語」という原義で、日本語の熟語と同じということになります。


フランス語「クロワッサン」の意味とは?

では本題の、フランス語「クロワッサン」について考えてみたいと思います。

「クロワッサン」と言えばご存知の通りフランス発祥、表面のサクサクした食感やバターの風味がおいしい人気のパンですね。

「クロワッサン」は本場フランス語の表記で"croissant"となります。

この"croissant"の発音は、音声記号の表記では/kʁwa.sɑ̃/であり、敢えてカタカナで表記するならば「コアソン」のように聞こえます。アクセントは「ソ」にあります。

では"croissant"の意味について調べてみましょう。

「クロワッサン」と言えばパンのイメージが強いですが、名詞としての本来の意味は「三日月」です。

パンの「クロワッサン」は、その形が三日月のようであったことから名付けられたのですね。


フランス語"croissant"の反意語とは?

本来は「三日月」を意味する"croissant"ですが、その反意語は何でしょうか?

そもそも名詞「三日月」の反対の意味を持つ単語は?と聞かれても意味不明ですね。

ここでもう少し"croissant"について調べてみましょう。

実は、"croissant"には名詞以外の用法が存在します。

それが、動詞"croître"の現在分詞形です。

現在分詞とは、動詞から派生し形容詞のような働きを担う語形です。

つまり"croissant"は、動詞"croître"から派生した現在分詞形でもあったのです。

"croître"は「増える、成長する」という意味の動詞であり、その現在分詞"croissant"は「増大する、成長している」という形容詞として名詞を修飾します。

例えば、次のような例ですね。

 例)un marché croissant「成長市場」

"un marché" [アン マルシェ]は、「市場、マーケット」を意味する名詞です。フランス語では通常、形容詞が後ろから名詞を修飾するので日本語で「成長市場」となります。

間違っても「クロワッサンの市場」ではありませんのでご注意を。

以上のことから、"croissant"の反意語は名詞の用法ではちんぷんかんぷんですが、現在分詞に関して言えば「増える」の反対で「減る」ということになります

フランス語で「減る」は、"croître"に接頭辞"dé-"を付けた"décroître"があり、その現在分詞形は"décroissant"です。

というわけで"croissant"の反意語は、"décroissant"であると言えますね。


なぜ"croissant"が「三日月」を意味している?

さて掲題の"croissant"の反意語は、名詞では無く現在分詞形で考えれば答えが出せました。

ところで「増大する、成長している」という意味の形容詞が、「三日月」という意味を持つのはなぜでしょうか?

フランス語"croissant"と同語源で、やはり「三日月」を意味する英語"crescent" [クレセント]の語源から理由を探ってみました。

Applied in Latin to the waxing moon, luna crescens, but subsequently in Latin mistaken to refer to the shape, not the stage.

対訳:ラテン語で「満ちていく月」に当たるluna crescensですが、次第に月の形そのものに意味が取り違えられていきました。

(出典:Online etymology dictionary

フランス語"croissant"および英語"crescent"のルーツであるラテン語"crescens"は、そもそも月が満ちていく段階を指していたのですね。

新月から満月に向かって月の見える部分がだんだん「増えていく」ことから"crescens"が当てられたということになります。

ところが後に月の形を指すようになり、名詞"luna"「月」も失われて"croissant/crescent"だけで「三日月」を意味するようになったということですね。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回はフランス語"croissant"という単語について調べてみました。

"croissant"「クロワッサン」と言えばパンのイメージが強いですが、他にも名詞「三日月」や現在分詞「増大する、成長している」というがあったんですね。

掲題の「クロワッサン」の反意語を含めると今回は2つの単語やその派生形を覚えることができそうです。

 現在分詞形 croissant「増加する」⇔ décroissant「減少する」

 動詞形   croître「増える」  ⇔ décroître「減る」

※名詞形   croissant「三日月、クロワッサン」

また、1つの単語が複数の品詞を担っていることもあるので、単語を覚える際にはその点も注意したいですね。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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