ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
日常的に目にするものの語源を調べてみると意外な発見や外国語とのつながりが見えてくることがあります。
今回は日常目にするアレの語源が、実は「鶴」だったというお話です。
英語"crane"「鶴」が語源のアレ
1つ目のアレは、英語で「鶴」を意味する"crane" [クレーン]が語源となっています。
「クレーン」という音の響きで容易に想像がつくと思いますが、建設現場などで目にする重機の一つ「クレーン」ですね。
「鶴」を意味した"crane"が重機も指すようになったのは何故でしょう?
Online
etymology dictionaryによると以下の通り解説されています。
Use for "machine with a long arm for moving weights" is attested from late 13c. (a sense also in equivalent words in German, French, and Greek).
対訳:「重量物を動かすための長いアームを持つ機械」という用法は13世紀後半から見られます(同様の表現がドイツ語やフランス語、ギリシャ語でも見られます)。
(出典:Online
etymology dictionary)
確かに、細長い首の「鶴」のイメージが「クレーン」の見た目に似ていますね。
オランダ語"kraan"「鶴」が語源のアレ
2つ目のアレは、オランダ語で「鶴」を意味した"kraan" [クラーン]が語源となっています。
1つ目の「クレーン」と違って、音からは想像がつきませんね。アレとは何でしょうか?
答えを探るために、オランダ語"kraan"の意味を調べてみましょう。
英語版Wiktionaryで調べてみると、以下の意味が得られました。
1. crane (machine for lifting)「(重機の)クレーン」
2. tap, faucet「タップ、蛇口」
(参照:en.wiktionary.org/wiki/kraan)
1番目の意味「クレーン」は英語"crane"と同様ですね。ちなみにオランダ語"kraan"は英語"crane"と音やつづりが似ていますが、これは語源が同じ(ゲルマン祖語*kranô)である為です。
ただオランダ語の場合、重機「クレーン」の他にもう1つ意味があります。
それが2番目の「蛇口」です。
「蛇口」の語源が「鶴」とはどういうことでしょうか?
英語版Wiktionaryによると以下の通り解説されています。
The senses “tap” and “crane” as a machine are both based on resemblance with the bird's neck.
対訳:「蛇口」および「(機械の)クレーン」の両方とも鶴の首と似ていることから。
(参照:en.wiktionary.org/wiki/kraan)
「蛇口」の語源も「クレーン」と同じように、鶴の首が由来だということですね。
ただ「蛇口」の見た目を「鶴」と関連付けたのはオランダ語においてだけのようです。
"kraan"に由来する日本語とは?
「蛇口」がオランダ語では「鶴」に由来することは分かりました。
ただ「蛇口」という意味での"kraan"は、実は日本語にも影響を与えています。
どういうことでしょうか?
日本語の「蛇口」には「蛇(へび)」という漢字が当てられています。
「蛇」が名づけられた理由は諸説あるそうですが、明治期にヨーロッパから近代水道の技術や部品がもたらされた際、ヨーロッパから輸入した水栓についていたライオンのレリーフが元になったそうです。
日本で国産の水栓を製造するにあたりライオンのモチーフは龍に置き換えられ、更に当時は龍と蛇が混同されていたことから「蛇」が当てられたとのこと。
日本語では他に「蛇腹」という表現もありますが、「蛇」が日常的にイメージされやすかったのかもしれません。
話が「蛇口」の由来に逸れてしまいました。オランダ語"kraan"に戻りましょう。
"kraan"がどう日本語に影響を与えたのでしょうか?
「蛇口」を別の言い方で表現すると、"kraan"との関連が見えてきます。
「蛇口」のことを「カラン」とも言いますね。
この「カラン」が、実はオランダ語"kraan"に由来するということでした。
日本はかつて鎖国政策下でオランダやポルトガルという限られた国としか国交を持っておらず、そのため両国語に由来する単語が現代でも多くあります。
オランダ語"kraan"に由来する「カラン」もその一例だったということですね。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、「鶴」に由来する単語について調べてみました。
「クレーン」と「蛇口」では大きさも用途も全く異なりますが、どちらも鶴と似た見た目から派生しているというのは面白いですね。
今後も新たな発見があれば当ブログで取り上げていきたいと思います。