英語"club"「クラブ」の本来の意味は「こん棒」?

2022/07/25

英語

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ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

様々な面でグローバル化が進んで久しい昨今、外来語の流入スピードや日常目にする数がどんどん増えているように感じます。

日本語で表現できる言葉をわざわざ(?)外来語で言い換えた例もあり、日本語の方が分かりやすいのに・・・と感じることも増えてきました。

とはいえ昔から用いられている語を中心に、我々の日常生活に不可欠な外来語の存在もまた確かです。

今回は、便利な外来語の一例であろう「クラブ」について考えてみたいと思います。


「クラブ」の用法を考える

「クラブ」は、日常的に用いられる外来語ですね。

その用法はざっと考えただけでも以下が挙げられます。

1.スポーツチームや企業、学校内でのある人々の集まり、「クラブ活動」「クラブチーム」

2.ゴルフで用いられる「クラブ」

3.トランプのマーク「クラブ」

1番目の用法は、「同好会」という日本語で言い換えることができますね。また「クラブ」という音に漢字を当てた「倶楽部」という表記も見かけます。

ただ2番目と3番目の用法では「同好会」と置き換えることも「倶楽部」と当て字をすることもありません。

複数の意味を持つ「クラブ」という外来語ですが、そのルーツはいずれも英語"club"にあります。

人の集まりもゴルフで用いる道具も"club"「クラブ」が由来とは一体どういう事でしょうか?


英語"club"の語源とは?

「クラブ」が持つ複数の用法について、ルーツとなった英語"club"の語源から紐解いてみましょう。

Online etymology dictionaryによると以下の解説が示されています。

c. 1200, "thick stick wielded in the hand and used as a weapon," from Old Norse klubba "cudgel" or a similar Scandinavian source (compare Swedish klubba, Danish klubbe),(中略)Specific sense of "bat or staff used in games" is from mid-15c.

対訳:1200年頃、「手にもって武器として扱われる太い棒」、古ノルド語klubba「こん棒」もしくは類似のスカンディナビア語が起原(スウェーデン語klubba、デンマーク語klubbeと比較せよ)、(中略)「試合で用いられるバット、棒」という意味は15世紀半ばから。

(出典:Online etymology dictionary

英語"club"の意味は本来「こん棒」であったことが分かります。

後にゴルフ等で用いられる道具にも"club"という単語が当てられれたのは、「こん棒」のような形状から派生した為だと言えそうですね。


「同好会」を意味する"club"の由来とは?

では、「クラブ」が日本語「同好会」のような意味で用いられる用法は、どこに由来するのでしょうか。

調べてみると、"club"の本来の意味「こん棒」が由来であることが伺えます。

The sense "company of persons organized to meet for social intercourse or to promote some common object" (1660s) apparently evolved from this word from the verbal sense "gather in a club-like mass" (1620s),

対訳:「社会的な交流や共通の目的の為に組織された人々の集まり」(1660年代)という意味はclubの動詞としての用法「こん棒のようにかたまって集まる」に由来すると思われます。

(出典:Online etymology dictionary

「こん棒」は原始的な棒状の武具ですが、手で握る部分に対して打撃部分は太く丸い形状になっているイメージがあります。

そのイメージが、「かたまって集まる」という意味に派生して「同好会」の意味も"club"が担うようになったということですね。

ちなみに、こん棒の「こん」は漢字で「棍」と書きますが、「棍」の訓読みは「たば・ぼう」であり「たば、束ねる」という意味があるそうです。

英語の"club"も漢字の「棍」も、「かたまって集まる」と「たば」で似たような意味を持っているというのは面白いですね。


トランプの「クラブ」の由来とは?

では、トランプで三つ葉のクローバー状のマークが「クラブ」と呼ばれているのは何故でしょうか?

英語版Wikipediaでは次のように解説されています。

The English name "Clubs" is derived from the suit of Bastoni (batons) in Italian-Spanish suited cards.

対訳:英語のClubsはイタリア/スペインのカードにおけるBastoni「棒」に由来します。

(参照:en.wikipedia.org/wiki/Clubs_(suit)

引用にある「イタリア/スペインのカード」というのは、現代のトランプのルーツになったと思われるイタリアやスペインで製造されたカードを指します。

当時、剣を持つ王様や棒のようなものを持つ王子のイラストが描かれたカードがあったそうで、この棒(イタリア語で"Bastoni")を英語では"Club(s)"「こん棒」と言うようになったということのようです。

※以下のサイトで当時のトランプの姿を見ることができます。

https://playingcarddecks.com/blogs/all-in/history-playing-cards-modern-deck


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は外来語「クラブ」のルーツになった英語"club"について調べてみました。

「同好会」を指したり「ゴルフクラブ」やトランプのマークを指したり…複数ある用法もルーツを辿れば「こん棒」という一つの意味から派生していたのですね。

普段、何気なく用いている外来語も語源を尋ねると新たな発見があるかもしれませんね。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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