【Flour】「フラワー」は花?それとも小麦粉?【Flower】

2022/03/14

英語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

英語には発音は同じでありながらつづりや意味が異なる、いわゆる同音異義語が存在します。

今回はどちらも「フラワー」のように発音される、"flour"と"flower"について考えてみたいと思います。


同音異義語"flour" / "flower"の意味は?

まずはそれぞれの意味を調べてみましょう。また今回は同音異義語として取り上げるので発音記号も一緒に確認します。

1.flourの意味と発音

【意味】小麦粉、メリケン粉、粉末、細粉

【発音】/flάʊɚ(米国英語), flάʊə(英国英語)/

2.flowerの意味と発音

【意味】花、開花、(元気などの)盛り、盛年

【発音】/flάʊɚ(米国英語), flάʊə(英国英語)/

(参照:https://ejje.weblio.jp/

それぞれWeblioを参照し抜粋しました。

"flour"は「小麦粉」ですね。スーパーで見かける日清フラワーの中身は言うまでも無く小麦粉です。flower「花」の方ではありません。

米国と英国で末尾"-r"の発音の仕方が微妙に異なるようですが、"flour" / "flower"ではそれぞれ同じ発音であることが分かります。

つづりも微妙に似ているこの2単語ですが、関連性はあるのでしょうか?

語源を遡って調べてみたいと思います。


"flour"の語源とは?

まずは小麦粉を意味する「フラワー」の方から。

mid-13c., from flower (n.), and maintaining its older spelling, on the notion of flour as the "finest part" of meal, perhaps as the flower is the finest part of the plant or the fairest plant of the field

対訳:13世紀半ば、名詞flowerから、古いつづりを維持し、「(穀粉の)最も上質な部分」という意味に基づく、恐らく「花」が植物の最も上質な部分または草原で最も綺麗な植物とされたことから。

(出典:Online etymology dictionary

なんと、いきなり"flower"との関連性を伺わせる一文が飛び出しました。

読み進めると、更に興味深い話が分かります。

Old French flor also meant both "a flower, blossom" and "meal, fine flour." The English word also was spelled flower until flour became the accepted form c. 1830 to end confusion.

対訳:古フランス語florもまた「花」と「穀粉、上質な小麦粉」の両方を意味した。英単語もまたflowerとつづられていたが1830年頃に混乱を防ぐためflourというつづりが受け入れられた。

(出典:Online etymology dictionary

英語"flower"はフランス語を通じもたらされたということなのでしょう。そのルーツである古フランス語でも「花」と「小麦粉」は同じ単語"flor"が担っていたそうです。

ただし現代フランス語で「小麦粉」は"farine"であり、fleur「花」とは異なります。


"flower"の語源とは?

続けて、もう少しこれら単語のつづりについて調べてみましょう。今度は花を意味する「フラワー」の語源を探ります。

c. 1200, flour, also flur, flor, floer, floyer, flowre, "the blossom of a plant; a flowering plant,"

対訳:1200年頃、flourまたはflurflorfloerfloyerflowre、「植物の花、花をつける植物」

(出典:Online etymology dictionary

昔は実に様々なつづりで記載されていたようです。

そして、その中の"flour"こそ現代英語で小麦粉を意味する方のつづりと同じですね。

先程"flour"の語源で言及されていた、"its older spelling"はこのことを指していると考えて間違いないでしょう。

ただ、当初の意味は「花」のみであったようです。

もう少し語源を紐解いてみましょう。

From late 14c. in English as "blossoming time," also, figuratively, "prime of life, height of one's glory or prosperity, (中略)the best of its class or kind; embodiment of an ideal," (中略)for example flour of milk "cream" (early 14c.); especially "wheat meal after bran and other coarse elements have been removed, the best part of wheat" (mid-13c.). Modern spelling and full differentiation from flour (n.) is from late 14c.

対訳:14世紀後半から英語では「開花時期」に加え比喩的に「人生の盛り、栄光や繁栄の高さ、(中略)そのクラスや種類の中で最高位、理想の具現化」としても、(中略)例えばflour of milk「クリーム」(14世紀初め)、とりわけ「くずやその他の粗い部分を取り除いた小麦粉、小麦の最上部分」(13世紀半ば)。現代のつづりと名詞flourとの完全な差別化は14世紀後半から。

(出典:Online etymology dictionary

「花」から「小麦粉」への意味の発展は、比喩的な用法(盛り、最上なもの)から生まれた英語独特なものだったと言えそうです。

その後「花」を意味する単語は14世紀後半には現代英語と同じ"flower"というつづりになり、そこから1830年頃まで時間を掛けながら"flour"「小麦粉」との差別化が浸透していったということではないでしょうか。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は英語における同音異義語の一つ、"flour"と"flower"について考えてみました。

つづりも似ていて発音が同じ両者の関係は実は同じルーツだったということでした。

またflower「花」自体はフランス語からの流入でありながら、そこから「小麦粉」という意味の発展は英語のみというのも面白い話ですね。

言葉が用いられる地域によって異なる発展を遂げるという好例だと思います。

今後もこのような発見があれば紹介していきたいと思います。

Translate

このブログを検索

プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

お問合せフォーム

名前

メール *

メッセージ *

QooQ