ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
これまでにドイツ語圏やスペイン語圏の著名な人物の名字について、その意味を調べて紹介してきました。
今回は「サッカー選手の名字シリーズ」としては第3弾となる、イタリア語圏の名字について取り上げます。
イタリア国内のプロサッカーリーグ・セリエAは、過去には中田英寿選手がペルージャやASローマといったクラブでの活躍もあり、日本でもよく知られていると思います。
代表チームも強豪で、今年の欧州選手権の優勝国です。
過去から現在まで、多くの有名選手がいるイタリアサッカー界から今回は4人の名字について紹介します。
1. フェデリコ・キエーザ
まず取り上げるのは、現役でユヴェントスという強豪クラブに在籍しイタリア代表でもあるフォワード、フェデリコ・キエーザ選手です。
ちなみに、彼の父親エンリコ・キエーザもイタリア代表歴があるそうです。
そんな彼の名字「キエーザ」はイタリア語で"Chiesa"とつづります。
イタリア語は子音"C"がカ行の音を表すためca [カ]、co [コ]、cu [ク]のように発音されるのですが、ce [チェ]、ci [チ]のように続く母音がeまたはiの場合は音が異なります。
では、[ケ]や[キ]の音はどう表現するかというと、今回の名字"Chiesa"「キエーザ」のように子音"ch"とつづります。che [ケ]、chi [キ]ということですね。
"chiesa"は、イタリア語で「教会」を意味する一般名詞です。
イタリアを始めヨーロッパには各地に教会がありますが、ご先祖様が教会に関わる方だったのでしょうか。何かしら関連がありそうですね。
調べてみると日本には「神社(かんじゃ、じんじゃ)」さんという名字の方がいらっしゃるそうで、"Chiesa"「教会」さんの日本語版と言えそうです。
2.チーロ・インモービレ
続いては、現役でSSラツィオという強豪クラブに所属、やはりイタリア代表にも選出されているフォワード、チーロ・インモビーレ選手です。
彼の名字はイタリア語で"Immobile"とつづりますが、その意味は何でしょうか?
せっかくなので、つづりから考えてみましょう。
"Immobile"は、"im" + "mobile"に分けることができます。最初の"im"はともかくとして、"mobile"は見たことがあるつづりだと思いませんか。
英単語"mobile"「モバイル」と同じつづりですね。
「モバイル」は、昨今では携帯電話などを指したりモバイルバッテリーと呼んだりするように、後に名詞を続けて「携帯の、持ち運び可能な」という意味で日常的に使われます。
そのルーツはラテン語の形容詞"mobilis"ですが、「動く」という意味の動詞"movere"(英語"move"に相当)から派生した単語です。
そこに最初の"im"が付くわけですが、こちらは「否定」を表す接頭辞です。
ということでイタリア語"Immobile"は"mobile"の否定形であり、「不動の」という意味になります。
ちなみに形容詞で「不動の」という意味の他に、一般名詞で「不動産」という意味もあります。
ご先祖様は不動産関係の職業だったのでしょうか。
日本にも「不動(ふどう)」さんという名字の方がいらっしゃるようですが、こちらは仏教の「不動尊」信仰に由来するようです。
2014年からイタリア代表に選ばれている"Immobile"選手は、その技術により代表やクラブ内で「不動の」地位を確立しているのかもしれませんね。
3.フランチェスコ・アチェルビ
インモービレ選手と同じSSラツィオに現役で所属するディフェンダーが、フランチェスコ・アチェルビ選手です。彼もまたイタリア代表に選ばれています。
彼の名字は"Acerbi"とつづります。意味を調べてみましょう。
Wiktionaryで検索すると、形容詞"acerbo"の男性複数形であることが分かります。
その"acerbo" [アチェルボ]は、「未熟な、酸っぱい」等の意味を持つ形容詞でした。
ラテン語"acerbus"に由来し、同源に英語"acerbic"「渋い、酸っぱい」があります。
名字としては少々かわいそうな意味ですが(失礼!)、キャリアとしては2度のガンを乗り越えて現在も現役で活躍しており、選手としての実力が伺えます。
4.ルイジ・リーヴァ
これまで現役の選手たちを取り上げてきました。
最後は、既に現役を引退した元プレーヤー、ルイジ・リーヴァ氏を取り上げます。
彼は1944年に生まれ、1965~1974年までイタリア代表としてフォワードでプレーしました。
代表として42試合に出場し、そこで挙げた35得点という実績は現在においても破られていません。
彼の名字はイタリア語で"Riva"ですが、一般名詞として「(川の)岸」という意味があります。
"riva"はラテン語の名詞"ripa"に由来し、同源にフランス語"rive"や英語"river"があります。
ちなみに、「到着する」という意味の英語"arrive"に"rive"が含まれていますが、これは「岸に接する」という原義が由来となっています。
ちなみに、フランス語"rive"もイタリア語同様に「岸」という意味であり、英語"river"のように「川」そのものを指す単語ではない点に注意が必要です。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、イタリア語圏のサッカー選手の名字からイタリア語を学んでみました。
名字は固有名詞ではありますが、調べてみると一般名詞として意味が分かるものもあり、それぞれの意味から名字のルーツを想像してみるのも語学の一環としては面白いと思います。
あわせてドイツ語圏やスペイン語圏のサッカー選手の名字を調べた以下記事も参照頂ければ幸いです。