【ドイツ語】接尾語"~nis"の「性」は中性?それとも女性?実は・・・

2021/04/30

ドイツ語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

以前、ドイツ語の名詞"Wort"を例に挙げて、注意すべき「性」の区別について紹介しましたが、今回はその第2弾です。


ドイツ語の名詞が持つ「性」について

ドイツ語の名詞は男性名詞、女性名詞または中性名詞の3つの「性」のどれかに区別されます。

名詞の「性」は、冠詞の形や形容詞の語尾の形に影響する等、ドイツ語学習において避けては通れない文法事項です。

以前、そんな「性」の覚え方として定冠詞+名詞のセットで覚える方法を紹介しました。

ドイツ語の定冠詞は、男性名詞"der"[デア]、女性名詞"die"[ディ]、中性名詞"das"[ダス]とそれぞれ形が異なります。

例えばドイツ語の男性名詞"Finger"[フィンガー]「指」という単語を覚える際には、定冠詞と共に3回唱えて「性」も一緒に覚えてしまうのです。

 "Der Fingerder Fingerder Finger!"

単語の暗記はドイツ語に限らず外国語学習で乗り越えねばならない作業の1つですが、ドイツ語においては「性」の区別もしなければならないのは大変な点ですね。


接尾語で「性」が分かるケース

しかしながら、単語の接尾語から「性」が分かるパターンがいくつかあります。

例えば、形容詞から名詞を派生させる接尾語"-heit"[~ハイト]を持つ単語は、全て女性名詞です。

 例)"Gesundheit"「健康」= 形容詞"gesund"「健康な」+"heit"

   "Schönheit"「美しさ」=形容詞"schön"「美しい」+"heit"

また、対象の名詞に小さいイメージを与える接尾語、いわゆる指小辞の"-chen"[~ヒェン]を持つ単語は、全て中性名詞です。

 例)"Mädchen"「少女」= "Magd"「女性」+"chen"

   "Hündchen"「子犬」="Hund"「犬」+"chen"

ドイツ語では、"Mädchen"「少女」は女性を指す言葉ではあるものの、接尾語"-chen"が付くために中性名詞と分類されるのです。

このように接尾語と性の関係を押さえておけば、ドイツ語の名詞を覚える作業も少しは楽になりますね。


注意が必要な接尾語"-nis"!

ただし、接尾語"-nis"については注意しなければなりません。

接尾語"-nis"を持つ単語として以下の例をまずは示します。

 例1)"das Geheimnis"「秘密」= 形容詞"geheim"「秘密の」+"-nis"

 例2)"die Erlaubnis"「許可」= 動詞"erlauben"「許可する」+"-nis"

どちらも元の単語に接尾語"-nis"がついて名詞化した単語ですが、先頭の冠詞に着目すると形が異なります。

例1の冠詞は"das"で中性名詞、一方で例2は"die"がつくことから女性名詞です。

接尾語としてどちらも"-nis"を用いながら、「性」は中性名詞と女性名詞の2通りが存在するのです。

残念ながら、これはどちらかが間違っているというわけではありません。

接尾語"-nis"を持つ名詞は中性名詞の場合もあれば女性名詞の場合もあり、個別で覚えなくてはならないということになります。

この難しい区別について、何か判断基準は無いものでしょうか?

英語版wiktionaryの注釈の項には以下の説明がありました

There is no perfect rule to determine whether a noun with the suffix -nis is neuter (→ suffix 1) or feminine (→ suffix 2). The former may be concrete or abstract, whereas the latter are almost exclusively abstract. 

どうやら、明確な判断基準は無さそうです。

ただ一つの目安として、具体的または抽象的な意味の単語は「中性名詞」であるのに対し、もっぱら抽象的な意味の単語が「女性名詞」である、とあります。

ドイツ語版wiktionaryには以下の通り解説されています。

Nominalisierende Wortendung für meist abstrakte und manche konkrete Begriffe, die sowohl sächlich als auch weiblich sein können. Die weiblichen Wörter sind seltener und sind fast ausschließlich abstrakte Begriffe, während die sächlichen sowohl konkrete als auch abstrakte Begriffe sind.

ドイツ語版においても、やはり接尾語"-nis"については中性名詞と女性名詞のどちらもあり得ると解説されています。

女性名詞は(中性名詞よりも)まれで、もっぱら抽象的な意味の単語である一方、中性名詞は抽象的な意味でも具体的な意味でもあるということで、英語版と同様の解説ですね。


接尾語"-nis"を持つ代表的な名詞を確認

女性名詞か、それとも中性名詞か…残念ながら明確な区別は見つかりませんでしたが、どうやら数としては中性名詞であることの方が多いようです。

そこで接尾語"-nis"を持つ代表的な単語とその性別を確認してみました。

中性名詞の例

das Bekenntnis「告白」、das Ereignis「出来事」、das Erlebnis「経験」、das Geheimnis「秘密」、das Verständnis「理解」、das Zeugnis「証言」…など

女性名詞の例

die Befugnis「権限」、die Besorgnis「心配」、die Erkenntnis「認識」die Erlaubnis「許可」die Finsternis「暗さ」die Kenntnis「知識」…など

こうして書き起こしてみると、意味から判断することは諦めて地道に暗記する方が早いように思われますね…。

また、"Bekenntnis""Erkenntnis""Kenntnis"という3単語は要注意ですね。

いずれも"kennt"という語を含みながらも、"Bekenntnis"のみが中性名詞です。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回の記事ではドイツ語に関して、名詞接尾語の「性」について調べてみました。

やはり外国語学習というのは一筋縄ではいきませんね。

ただ、このように線引きが曖昧であるのが、長い歴史の中で育まれてきた自然言語を学ぶ醍醐味ともいえると思います。

やっかいな名詞の「性」ですが、あえて違いを探してみる等「楽しんで」学んでいければと思います。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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