ハロー。Yumaです。
皆様、今日も楽しんで語学してますか?
ある外国語を、原語に忠実な音で表記するというのは大変難しい(むしろ不可能)です。
例えば英語の"right"と"light"はどちらも「ライト」と表記するほかなく、カナでは区別がつきません。
また、既にある表記が定着している外国語については改めてより正確な表記にしようとすると違和感があり受入れられにくいというのもあります。
例えば「テレビ」は英語"television"からきていますが、"v"の音をより正確に「テレヴィ」とするとしっくりきませんね。
今回は、ヨーロッパの都市名に着目して原語に忠実な表記、発音について調べてみました。
1.ピサ(イタリア)
訪れるべき名所が多いイタリアですが、その1つに「ピサの斜塔」があります。
名前の通り少し傾いた塔ですが、イタリア語では"Torre
di Pisa"といい単に「ピサの塔」という意味になります。
この塔がある都市の名は「ピサ」として知られていますが、より正確には[ピザ]という発音になります。
これは、イタリア語では母音の間に挟まれた"s"は有声音化するためです。平たく言えば「サ行」の音が「ザ行」の音になります。
そのため"Pisa"は[ピザ]がより正確な発音であるというわけです。
ピザと聞くと、食べ物のピザと混同してしまうかもしれませんが、こちらは"Pizza" [ピッツァ]ですので要注意です。
2.ワイマール(ドイツ)
ドイツの都市ワイマールは、世界史の授業で登場する「ワイマール憲法」や犬種「ワイマラナー」の名前から聞いたことがある人も多いと思います。
ドイツ語で"Weimar"という表記ですが、より正確な発音は[ヴァイマル]です。
ドイツ語では子音"w"は「ヴァ行」の音(英語の"v")、一方で子音"v"は「ファ行」の音(英語の"f")になるので英語の音と混乱しないよう要注意です。
ちなみに自動車メーカーの"Volkswagen"は日本では「フォルクスワーゲン」と表記されますが、より正確には[フォルクスヴァーゲン]です。
子音"v"はドイツ語に準じているものの、"w"の方は発音のしやすさからか日本では「ワ行」が採用されているのかもしれませんね。
他にも類似の例は多くあり、オーストリアの首都"Wien"「ウィーン」も正確には[ヴィーン]、ポーランドの首都"Warszawa"「ワルシャワ」も正確には[ヴァルシャヴァ]です。
3.リスボン(ポルトガル)
ユーラシア大陸の最西端に位置し、古くは鉄砲を伝えるなど日本とも関係の深い国の1つポルトガル。
日本語にも取り入れらたポルトガル語彙は数多く、ボタンやジョーロ、カステラなど現代でも日常的に使われています。
同国の首都はリスボンですが、このカナ表記は英語"Lisbon"を通じたものであり原語の表記や発音に近いとは言えません。
実は、ポルトガル語で"Lisboa"と表記し発音も[リジュボア]のようになります。
英語表記"Lisbon"には原語に無い子音"n"が存在しますが、ポルトガル語でも古くは母音"o"が鼻母音として表記されていたようです。
当時の発音は[リジュボンア]のようだったのでしょうが、発音のしやすさのためか現代では鼻母音が無くなり[リジュボア]に変化したのだと思われます。
4.モスクワ(ロシア)
ユーラシア大陸のアジア側とヨーロッパ側の両方にまたがる広大な国土を持つロシアの首都、モスクワ。
この都市名は英語"Moscow" [モスコー]やドイツ語"Moskau" [モスカウ]のように表記されますが、原語では"Moskva"(注:ラテン文字表記)です。
ローマ字で[モスクヴァ]と読めることから、日本語は言語に近い音で表現されているように感じますが、実際には[マスクヴァー]と聞こえます。
標準的なロシア語ではアクセントのない母音"o"が、"a" [ア]のように発音されるためです。
またロシア語では名詞の語尾が格変化により変化します。これは固有名詞であっても当てはまります。
"Moskva" [マスクヴァー]というのは主格形であり、対格(直接目的語)形は"Moskvu" [マスクヴー]になります。
他に造格という格もあり、その語形は"Moskvoj" [マスクヴォーイ]です。
ロシア語では主格以外の格もきちんと覚えておきましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回はヨーロッパの都市名について調べてみました。
主要な都市はカナ表記により日本でも知られていますが、正確なつづりや発音となると意外に分からないのではないでしょうか。
都市名を通じて、そこで話されている言語にも興味が持てたら更によいですね。