【英語の視点】"anniversary"の正しい使い方とは?

2023/07/03

英語

t f B! P L

ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

私は毎朝、通勤電車の中でNPRというサイトで英文ニュースを読んでいます。

NPRは米国で公共放送向けにニュース記事の作成と配布を行っている組織ですが、そのサイトは無料で記事を読むことが可能です。

ニュースのカテゴリは米国内から世界情勢はもちろんのこと、音楽や書籍などの記事もあり幅広く読むものがあります。

とりわけ国際的なニュースは日本でも目や耳にする内容のため、英文であっても大意は掴めると思います。

ニュースの内容によっては専門的な用語が飛び出しますが、そこまで難しい印象もありません。英文リーディングの数をこなしたい方にはおすすめです。

(参照:www.npr.org/


英語の視点で英単語を知るということ

私たちの周りには、今では様々な英単語が外来語として取り入れられています。

この記事でも、既に「サイト」「ニュース」「カテゴリ」「リーディング」という表現が出てきました。

いずれも英語に由来する表現ですが、中にはあえて日本語で表現しようとすると悩んでしまうものもあります。

上の単語は英語でそれぞれ"sitenewscategoryreading"ですが、こうした例はなまじ日常で使い慣れていることもあり改めて意味や使われ方を確認することは無いのではないでしょうか。

ただし英語は本来イングランドの言葉です。英語は国際的な共通語となって久しいですが、意味や使われ方は英語ネイティブの視点で確認する必要があります。

特に外来語として取り入れられ、なかば日本語化もしつつある単語には思わぬ落とし穴があるかもしれません。

今回は単語"anniversary"について調べてみたいと思います。


ニュースにおける"anniversary"をどう訳すか?

数ヶ月前に見たNPRの記事で以下の表現がありました。

President Biden and Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy walk (中略) in Kyiv ahead of the anniversary of Russia’s invasion of Ukrain.

対訳:バイデン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻のanniversaryを前にキエフ市内(中略)を歩いた。

(出典:Biden visits Kyiv to show solidarity, says "One year later, Ukraine still stands"

米国のバイデン大統領が秘密裡にウクライナを訪問し同国のゼレンスキー大統領と会談を行ったというニュースの中の一文です。

ちなみに、ニュースの発信元は米国のためわざわざバイデン氏の前にU.S.「米国」等の表記はしません。

当たり前の話ですが、海外メディアのサイトを見ているとこうした点が新鮮に映ります。

ところで、敢えて訳していない"anniversary"の意味は何でしょうか。

「アニバーサリー」というカタカナ英語がすっかり日本語にも定着しており、我々は「記念日」という意味で用います。

しかし今回の例は、ロシアによるウクライナ侵攻という説明があります。「記念日」と訳すのはどう見ても不適切です。

実は"anniversary"という単語の意味は、必ずしも「記念日」というポジティブなものではないのです。


語源に見る"anniversary"の意味とは?

まず手元の辞書を確認すると、"anniversary"には「記念日」だけでなく「年忌日(毎年の故人の命日)」という意味が見つかります。

(参照:プログレッシブ英和中辞典(第5版))

「記念日」「年忌日」のどちらも一年の中で巡ってくる特定の日であることは変わりありませんが、その位置付けは異なります。

こうした意味は、語源を遡ることではっきりとしてきます。

originally especially of the day of a person's death or a saint's martyrdom, from Medieval Latin anniversarium, noun from Latin anniversarius (adj.) "returning annually,"

対訳:元は特に人が亡くなった日や聖人が殉教した日を意味し、中世ラテン語の形容詞anniversarius「一年で巡ってくる」の名詞形anniversariumが由来、

(出典:Online etymology dictionary

元は「命日」という意味が主だったようです。また、この単語は「一年で巡ってくる」という形容詞が名詞化したものですが、その成り立ちは以下の通りです。

from annus (genitive anni) "year" + versus, past participle of vertere "to turn"

対訳:annus(属格形anni)「年」+ vertere「回る」の過去分詞形versusから

(出典:Online etymology dictionary

成り立ちまで遡れば、単に一年が巡ってくるという原義が見えてきます。

つまり、後から「命日」や「記念日」という意味に拡大されたものの今でも原義に則って「ある特定の日から年単位で巡った」という使い方が"anniversary"にはあるのでした。


最後に

以上のことから、今回取り上げたニュースにおけるanniversaryは単に「周年」を指しているだけに過ぎません。

ただ、「周年」ももっぱら記念日的な性格を持つ単語かと思いますので、以下のような訳が自然かもしれません。

President Biden and Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy walk (中略) in Kyiv ahead of the anniversary of Russias invasion of Ukrain.

対訳:バイデン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻から丸一年を前にキエフ市内(中略)を歩いた。

今回のようなニュースで"anniversary"という単語に出くわすと、先入観から驚いてしまいますが、英語ネイティブの視点で単語を観察すればその使い方が見えてきます。

今後もこのような例があれば当ブログで紹介していきたいと思います。

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Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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