【文法用語】なぜ「原級」を英語では"positive"と言う?

2023/02/13

英語

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ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

英語学習において意外な盲点になるのが、文法用語を英語で何と表現するか分からないという点ではないでしょうか。

そもそも文法用語の英語表現を知らなくても問題無いのかもしれませんが、改めて調べてみると意外な単語が登場します。

今回は、その一例である"positive"について調べてみたいと思います。


「原級」について

英語に限らず、形容詞や副詞の比較級・最上級の表現はいろいろな言語で学ぶ文法項目だと思います。

英語であれば形容詞や副詞の「原級」語尾に"-er"をつけるか"more"  原級とすることで比較級を作れます。

また、形容詞や副詞の「原級」語尾に"-est"をつけるか"most"  原級とすれば最上級の表現が可能です。

比較級であれ最上級であれ「原級」という元の形がベースになっているわけですが、この「原級」のことを英語では"positive"と言います。

"positive"という語自体は基本単語ですね。

「ポジティブ・シンキング」のように日本語に取り入れらた表現もありますが、その意味は「前向きな」とか「積極的な」というイメージがあるのではないでしょうか。

それが「原級」という意味も表すというのは何だか不思議ですね。


そもそも"positive"の意味とは?

「前向きな」、「積極的な」というイメージの"positive"がなぜ「原級」になるのか、調べてみましょう。

そもそも"positive"という単語の意味はなんでしょうか。

基本単語につき調べるまでも無かったかもしれませんが、この機会に改めて調べてみましょう。

[]

1.明白な、〈規則などが〉明文化された

2.法令・慣行によって定められた

3.〈人が〉確信のある

4.絶対的な

5.現実の、実証的な

6.〈態度などが〉積極的な

7.〈反応・結果が〉陽性の

8.上向きの、有望の

(参照:プログレッシブ英和中辞典(4)の解説より)

非常に多くの意味に細分化されますね。

またイメージされやすい「前向き」とか「積極的」という意味は順番的に後ろの方にあることが分かります。

"positive"の意味についてイメージを改める必要があるかもしれません。


"positive"の語源とは?

本来の意味を探るべく今度は語源を尋ねてみましょう。

early 14c., originally a legal term meaning "formally laid down, decreed or legislated by authority" (opposed to natural),  from Old French positif (13c.) and directly from Latin positivus "settled by agreement, positive" (opposed to naturalis "natural"), from positus, past participle of ponere "put, place" (see position (n.)).

対訳:14世紀初め、元は法律用語「正式に定められた、権威者により制定または命じられた(naturalの反意語)」、古フランス語positif13世紀)から、またはラテン語positivus「合意により定められた、明文化された(naturalis「自然な」の反意語)」から直接、ponere「置く、設置する」の過去分詞形positusから派生(名詞positionも参照のこと)。

(出典:Online etymology dictionary

ラテン語またはフランス語由来というのは英語の歴史上よくあることですが、元は法律用語だったとは驚きです。

ところが、原義「置く」から派生した"positive"は英語に取り入れられた後に様々な新たな用法が生み出されていきます。

The sense of "absolute" is from mid-15c. Meaning in philosophy of "dealing only with facts" is from 1590s. Sense broadened to "expressed without qualification" (1590s), then, of persons, "confident in opinion" (1660s). (以下略)

対訳:「絶対的な」という意味は15世紀半ばから、哲学における「実証的な」は1590年代から。意味は、「条件抜きの(1590年代)」それから「〈人が〉確信している(1660年代)」へと広がりました(以下略)。

(出典:Online etymology dictionary

本来は単に「制定する」という表現が、次第に「前向き」「積極的」というポジティブのイメージに近づいていく感覚が見受けられますね。


なぜ「原級」を英語では"positive"と言う?

では"positive"の意味や、ルーツが確認できたところで改めて当記事のタイトルについて考えてみたいと思います。

なぜ「原級」を英語では"positive"と言うのでしょう?

それは"positive"の意味の1つ「絶対的な」から派生したものと考えられます。

「原級」に対し、「比較級」と「最上級」は他との関係や比較によって成り立つ相対的な状態です。

それに対し「原級」は、単に対象について述べるものですので他との関係や比較なしにて成り立つ絶対的な状態です。

日本語訳の「原級」は、「比較級」や「最上級」のように語尾や"more"等の副詞を用いない元の形というイメージから命名されたものと思われます。

文法用語をどうとらえるか、これは文化や考え方の異なる外国語を日本語で説明する際の難しい点だと思いますが、「絶対級」などと訳されるよりは分かりやすい表現であると言えますね。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は文法で習う「原級」という用語の英語"positive"について考えてみました。

今さら調べるまでも無い単語ですが、改めて調べてみるとその単語の本質的な意味も含めて新たな発見がありました。

今後も外国語学習において気づきがあれば当ブログで取り上げていきたいと思います。

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様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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