英語"republic"「共和国」の"re-"とは何者か?

2022/06/30

英語

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ハロー。Yumaです。

皆様、今日も楽しんで語学してますか?

英単語に関して、接頭辞や語源を活用し効率よく覚えていく方法が少し前から書籍やネットで取り上げられ、広く知られるようになりました。

接頭辞は漢字に例えるならば偏のようなもので、元の単語に新たな意味を加えます。

しかし中には一つの接頭辞で複数の意味を担っているものもあり、注意が必要です。

今回は接頭辞の"re-"および英単語"republic"について調べてみたいと思います。


接頭辞"re-"の機能とは?

まずは接頭辞"re-"の機能を確認しましょう。

英語版wiktionaryによれば、その機能は大きく3つ挙げられています。

1.again, anew「再び」

2.a completive or intensification of the base「完了、強意」

3.back, backward「後ろに」

(参照:en.wiktionary.org/wiki/re-#Prefix

それぞれの機能が含まれた単語の例を以下に挙げてみます。

1.「再び」の例:repair「修理する」、reborn「再生する」、remember「思いだす」

2.「完了、強意」の例:refine「精製する」、recommend「勧める」

3.「後ろに」の例:return「返還する」、recession「後退」

一口に"re-"と言っても、その機能の選択を誤ると意味の取違えをしてしまう可能性もあるので注意が必要ですね。


問題:英語"republic"の"re-"の機能は?

接頭辞"re-"3つの機能を確認したところで、問題です。

英語で語頭に"re-"を持つ単語に"republic"があります。

では、この"republic"の"re-"はどの機能に該当するでしょうか?

語頭"re-"を取った残りの"public"は「公の、公共の」という形容詞としての顔を持ちますが、そこにつく"re-"はどの機能がしっくりくるでしょうか。

1.「再び」や3.「後ろに」というのは何となくイメージが湧きません。とすると、残るは「完了、強意」でしょうか?

"public"「公の、公共の」が強調された結果、"republic"「共和国」という意味になるのは何だかしっくりきます。

では意味や語源を辿りながら、答えを探してみましょう。


"republic"の意味は?

まずは、"republic"の意味を確認してみましょう。

プログレッシブ英和中辞典(第4版)の解説は以下の通りです。

1.共和国、共和制国家

2.(共通の目的・利益で結ばれた)団体、・・・社会

(参照:kotobank.jp/ejword/republic

一般的な意味「共和国」の他に、団体などにも用いることができるようですね。

ちなみに国名を正式に「~共和国」と英語で言う場合、"Republic of ~"であったり"~ Republic"だったりと、国によって表記が分かれています。

例)Repulic of Austria「オーストリア共和国」、Italian Republic「イタリア共和国」


"republic"の語源は?

続いて"republic"の語源を調べてみましょう。

語源を辿れば、いよいよ語頭"re-"の機能もはっきりしてくると思います。

from Latin respublica (ablative republica) "the common weal, a commonwealth, state, republic," literally res publica "public interest, the state," from res "affair, matter, thing"  + publica, fem. of publicus "public"

対訳:ラテン語respublica(奪格形republica)「共通の富、連邦、国家、共和国」から、原義はres publica「公共の利益、国家」であり、res「事柄、物事」とpublicus「公共の」の女性形publicaから。

(出典:Online etymology dictionary

何と、"republic"の語頭"re-"は接頭辞ではありませんでした。

ルーツであるラテン語によれば、本来は"res publica"という形式であり、名詞"res"に形容詞"publica"が修飾しているということになります。

ラテン語は、現代英語の人称代名詞(I, my, me…等)を除いて失われた格変化を有しています。

この"res publica"における名詞"res"は単数の主格形であり、引用中の"ablative"「奪格」という格になると"res"→"re"と形が変化します。

その形が英語に入り、現代の"republic"が生まれたということですね。

ということで最初の問題「"republic"の"re-"はどの機能に該当するでしょうか?」に対する答えは、『接頭辞では無く、ラテン語の名詞"res"が由来』でした。


最後に

いかがでしたでしょうか。今回は英語"republic"について調べてみました。

言葉というのは不規則な事象が常に存在するものなので、何でも接頭辞に当てはめて考えると間違いのもとになりかねないということですね。

接頭辞などに注目して単語を覚える際は、こうした点も注意して取り組みたいですね。

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プロフィール

Yuma
様々なヨーロッパの言語を独学し、日々の学習で得た発見や個人的に興味深い語学ネタを発信しています。外国語学習に疲れたとき、息抜きに読んでもらえれば幸いです。

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